11 :汚れずの好中球の渾名 ページ12
.
事の始めは1146番のある一言だった。
「1196番は樹状さんにクロくんと呼ばれているのか？」
その言葉を聞いた瞬間、口にしていたコーヒーをごふっ、という音を立てて吹き出してしまった。
「な、なんでそれを知って...」
「1196番に会う前樹状さんと話したんだが、クロくんの居場所知りたいかって言っていたからそう呼ばれているのかと思ってな」
あんの樹状細胞...！次会ったらどうしてくれようか！
ギリィ、と歯を噛み締めて居ると、視線をうろうろと彷徨わせる1146番の姿が視界に映る。
「...どうしたの、1146番」
「あ、いや...その」
僕に話し掛けられるとは思わなかったようで、1146は僕に話を振られた瞬間ビクリと体を震わせていた。
コーヒーを飲みながらじっ、と1146番の言葉を待っていると、意を決したのか引き結ばれていた唇が開かれた。
「...俺もクロと呼んでいいか？」
「……...は？」
1146番の更なる爆弾投下にいよいよ口からコーヒーが流れ落ちていく。
今、なんて言った？聞こえたのは幻聴か？
「俺も1196番を『クロ』と呼びたいんだ」
アッ、幻聴じゃなかった。
「なっ、やだよ！こっちはいい黒だからクロとか訳わかんない渾名付けられてんのに...もしそんなあだ名で呼んでみろ、アンタはいい白だからシロってあだ名つけて呼ぶぞ！」
「...！本当か？」
いや、なんでちょっと嬉しそうなんだよ！脅しのつもりだったのに！
「じゃあ私も！クロさんって呼びますね！」
「よろしく、クロ」
平然と樹状さんだけに呼ばれていたあだ名を口にする赤血球と白血球。
その顔が余りにも嬉しそうなもんだから、毒気を抜かれた気分だ。
ああもう。
「馬鹿じゃ、ないの...」
こっそり「赤血球も、『シロ』も...」と言ったはずなのに、2人には聞こえていたようだ。
シロは汚れ仕事の白血球に似つかわしくない、はにかんだような笑みを浮かべていた。
12 :汚れずの好中球とパトロール→←10 :汚れずの好中球とチョコチップ
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海藍 - 凄い、、、 (5月21日 23時) (
レス) id: 34bd24184d (このIDを非表示/違反報告)
仁兎 - 鶴丸国永が出てニヤニヤしてしまった…えへへ (2020年7月12日 10時) (レス) id: 01ef15654f (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - あああもう展開分かっちゃったふふふふ← (2018年12月30日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空みや(プロフ) - ぷらんくとん。さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただきありがとうございます♪このあとの話もお楽しみに！ (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7eb3a685bd (このIDを非表示/違反報告)
ぷらんくとん。 - 更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 11時) (レス) id: 4eb7efbf3a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼空みや | 作成日時：2018年8月21日 3時
