駆け引き

10 HS side ページ10

.






HS「っはあ、やば…」




スマホの時計を確認すると、夜の7時半を示していて



残業なんてほとんどしたことのない俺はかなり疲れた






今日はいつもの倍以上の仕事の量で、終わるのに時間がかかってしまった





HS「お疲れ様でした！」




まだ残業をするであろう同僚たちに声をかけ、会社を出る頃には8時を回った所だった








駅まで近道をするにはこの繁華街を通ればすぐだけど…




テヒョナの話が頭をよぎる






HS「…はあ、そんなやついるわけないよな」




ふぅ、と息を吐き繁華街の中へ入っていった






立ち並ぶ店はバーだったりキャバクラだったり居酒屋だったり




あまり俺には関係ない店だった







少し早歩きで歩いていると、後ろから透き通った声が聞こえてきた






「ねえ、おにーさん？」


HS「…っ」





無視をしてそのまま歩いて通り過ぎればよかったものの


あまりにも透き通った声で、思わず歩みを止めた






「あ、止まってくれた

ねえ、こっち向いてよ？」


HS「…っ」





その声に釣られるようにゆっくり振り返ると、そこには真っ赤なミニワンピースを着て微笑む彼女がいた




この人が、テヒョナの言ってた繁華街の噂の女の人…












.

11 HS side→←9 HS side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す