原点！ ページ2
「俺らってさ、"ハチコイチ"ってやつじゃね？」
いつも8人で集まる公園のジャングルジムのてっぺんで夕焼けを眺めながら言ったのは、1番背も声も器も何もかもがデカいぐちつぼだった。
ジャングルジムの近くのブランコから見た、傾き始めた太陽の光を浴びるぐちつぼのほんのり紅く染まった横顔を惹かれるように見詰める。
皆話さず、じっとぐちつぼの口から紡がれる言葉を待っていた。
ぐちつぼはそんな皆の様子を知って、照れ臭そうにはにかんだ後「何の時間？これ」と笑った。
「………ニコイチとかじゃなくて？」
同じくジャングルジムのてっぺんでスマホを弄っていたあろえは、顔を上げて半笑いでそう言いながらもどこか嬉しそうに頬を緩ませていた。
「うん、ニコイチなら聞いた事あるけどね」
ジャングルジムのてっぺんから1段下がったところに居たこんそめも、あろえに次いで頷く。
「でも何か、他と違う感じで良いかも！ハチコイチ！」
ブランコと少し離れた柵に腰を掛けていたたらこは、皆に顔が見えるくらいに上を向いて笑う。
「良いじゃんハチコイチ。強そう」
たらこの隣で柵に腕を回してしゃがんでいた原人も、立ち上がって拳を突き上げる。
「いぇ〜〜〜い」
隣でブランコを漕いでいるかねごんも、チェーンに腕を絡めて両手を突き上げた。
「おぉ〜？」
2人に釣られたのか、ジャングルジムの真ん中で登頂を諦めた焼きパンも隙間から手を突き上げる。
当然流れ的に視線は俺に集まる。俺は少し照れながら
「まじでイツメンとか憧れてたし正直お前らの一味に混ぜてもらえて光栄っすわ」
と言う。
皆を見るとポカンと間抜けな顔をしていて、何か変なこと言った！？ なんて声を荒らげてしまった。
そしてあろえに言われた一言。
「いやお前が1番の問題児だよ」
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作者名：宮瀬 | 作成日時：2022年3月14日 23時
