廃棄予定の実験動物。 (ページ15)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:48,289 hit

True End No.1 ページ15

音のした場所を見るとそこには…。

彼が居た。

…拳銃を持って。

『……透さん…？
何で拳銃なんて持ってるんです…か…？」

彼はその質問には答えてくれなかった。

透「何をしているんです？」

『……ッ！！』

透「何を、しているんです？」

彼は私と正反対の顔をしている。
柔らかくて、とても優しい顔の彼と、
青ざめ、体中が震えている私。
…哀しいほどに対称的だ。

彼は拳銃を突きつけたまま、逆の手で私の手を掴んだ。

『……きゃ…！！』

透「…キティ？どうかしたんですか？
大丈夫ですよ、痛くはしませんから。」

彼は怖いくらいの笑顔で私を殺そうとしている。

…やっぱり私の事なんて……。

瞳に涙が溢れてくる。

…でも愛しているわ。彼のこと…。
だから…彼になら……。

私は微笑んで銃口を自分の左胸に押し付けた。

『殺して…？』

透「…！？」

『私は貴方の為ならば何でもできる…。そう言いました。
その気持ちは今でも変わっていません。
だから…ね…？』

透「……そんなこと…出来るわけがない。」

『…え？』

透「一体僕が何のためにこんな真似をしたと思ってるんだ…。」

『…どういう……こと？』

透「…こういう事だ。」

彼は私にキスをした。
少し強引だけど…とっても優しい……。

透「…君を危険な事に巻き込みたくなかった…。
だから…君が逃げ出すように……。」

『…馬鹿。そんな簡単にはいきませんよ？』

透「…あぁ。そうだな。」

『それにもしも心配なら、貴方が私を守ってくださいよね…！！
その代わり、貴方の事は私が守りますから…。』

透「…！！」

『…ね？』

透「あぁ、…栞奈。」

『…え？』

透「僕が付けた名前だ。
気に入らないとは言わせないからな？」

彼はもう一度私にキスをした。