恋と事件は紙一重？

︎ ページ26

︎
︎



門前でヘリンと別れた私は約4年ぶりに制服姿で麗林(リョリム)高校の敷地を跨いだ。校舎は昨日建てられたのかと思うほど綺麗で､どこも清潔感がある

登校する生徒達の雪崩から抜け出すと教室の反対側の廊下を歩き､そのまま校長室へと向かった。チャニ警部が「挨拶はちゃんとしに行ってね」と言っていたから



息を整え､木製の扉を3回ノックすると「どうぞ」という声が聞こえてきたのでそのまま校長室の中へ入った


校長先生に挨拶する前に､私は先生の前に立つチャンビンと目が合った。その瞬間､思わず「うわ」と声をあげてしまった

「うわとは何だようわって」
「いや…」

そう言いながら咳払いし､私を睨みつけてくるチャンビン
そりゃあ私だっていくら苦手な上司でも口には出ない。うわ､と言ったのには理由がある

普段あげていた前髪がストレートに下ろされていていつもより幼い印象を受けたのもそうだが､なんと言ってもその姿に注目がいった

今にも制服のブレザーをはち切りそうな上腕二頭筋､これまたピッチピチのズボン。隠しきれてない大人の風貌も相まって簡潔に言うと全く高校生に見えないのだ

「もっと早く来いよ､2分前行動習わなかったか？」
「その前に一言良いですか？制服姿似合わなすぎません？見てるだけで笑えますね」

笑えると言いつつ真顔で言うと､ビニは「アイッシ…」と小っ恥ずかしいそうに頭をかいた

「あのな､そんなの俺が一番分かってるんだよ！大体23歳の男に高校生やれって言う方が無理あるだろうが!!」
「じゃあ今からでも新任教師っていう設定に変更します？貴方が生徒役はキツいです」
「お前はここでもう1回敬語の使い方を教わってくるんだな」

すると私たちを見ていた校長先生が咳払いし､私たちはすぐに前を向いた


「えーっと､今日刑事さんを呼んだ理由は他でもありません。渡した脅迫状は見ていただけました？」
「拝見させていただきました。旧校舎を取り壊すとか…」

そう言うと校長先生は酷く困ったように頷いた


「いくら悪戯とはいえ殺すなんて書かれちゃこっちも対応せざる負えないのでね…極めて悪質､これに尽きる」



「頭が痛いことが起きた」とこめかみを押さえる校長先生


この人が悪いとは言わないが､生徒の命が危険に晒されているのを頭が痛いで片付けるのはどうなんだろう。普通に考えれば休校に至るだろうに､そんなに学校評価が大切なのか

︎→←︎

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す