アイスバース Shu.I ページ4
※暗め
物心着く前から
私は自身が｢アイス｣だと言う事、
そして｢ジュース｣と結ばれたら溶けて消えてしまう事を
聞かされて生きてきた。
でも私は構わなかった。
況してや好きになる相手も居ないから
消える事は無い。
彼に出会うまでは、そう思っていた。
彼に出会ってから初めて人を好きなる気持ちと、
彼は｢ジュース｣なのか、
それとも｢その他｣なのかと言う
不安と恐怖で私の胸はいっぱいだった。
だから貴方の前から姿を消したのに。
｢……どうして、見つけるんですか……｣
開かれたドアの前に立っているのは
私の初恋の人。
彼は私に近付きそっと抱き寄せた。
｢御前の居る場所位、簡単に分かるさ｣
そう言い私の指と自身の指を絡ませた。
｢……貴方がジュースだったら、
私溶けて消えてしまうんですよ？｣
｢嗚呼、知っている｣
｢………なら、どうして…｣
“近付くの”
そう言いかけた時、
彼から思いもよらない言葉が聞こえた。
｢Aが溶けて消えてしまえば、
俺は自身がジュースと知る事が出来る。
……そして御前を殺したと言う罪を背負って生きて行くんだ。
そうすれば例えジュースだろうが、アイスだろうが、
繋がっている事は出来るだろう？｣
嗚呼、この人は狂ってる。
私は確信した。
けれど私は不思議と不安と恐怖が消えていた。
この人になら殺されても良い。
その思いで胸がいっぱいだった。
｢何よ、それ、……｣
最高じゃない。
私にとって嬉しい事じゃないか。
ずっと私だけを思って、
罪を背負って生きて行くだなんて。
なんて素敵で美しい少女漫画なの。
そんな事可能なのかとは思ったが
彼ならやりかねない。
否、そうするだろう。
｢じゃあ、さっさと結ばれないと、……ですね｣
そう言うと彼は 嗚呼、と一言だけ告げ、
私の口にそっと自分の口を重ねた。
徐々に溶けてく身体を
彼に抱き締められながら感じて行った。
最後に見た彼の顔は満面の笑みで私を見送っていた。
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作者名：すとろべりぃ | 作成日時：2019年2月11日 11時
