先輩は俺がもらうんで 【二口堅治】

24.嘘 ページ24

地面に叩きつける雨。




走った、いっぱい走った。





音楽室から聴こえる楽器の音でハッとする。



体育館から遠く離れた特別教室前。





当たり前に人はいなく、響くのは秒針の音だけ。









……なんで私こんなとこに居るんだろ。



体育館から抜け出す意味なんて特にない。



あの言葉がくるくるとさまよう。



付き合ってるのが本当だとしたら、今までのは何だったのかな。


ただ私と “仲良し„ の関係だったってこと……？






「……はぁ、無理」






自分で自分を殴りたい。



二口くんは私が好き だなんて、
自意識過剰なこと思ってたからいけないんだ。



気が変わってもおかしくないよね。


仮に私に好きな先輩がいたとして、同じ高校に行ったけどいない。

二年生になってやっと会えたと思っても、冷たい毎日過ごして。





＿＿＿＿





「ごめん、ちょっと部室に忘れ物思い出しちゃって」



そんな嘘を作り笑顔で話す。



舞ちゃんは、

そうだったんですね、心配しました……！

と安心気に話した。




でも素直に笑うことができない。




「それで、あの、急用入ったから今日これで……」




その場から逃げるように、後ずさる。








満足感と罪悪感。


二つが私を満たしている。








代表決定戦、前日の私。

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