第壱章 君は愛しいモノノ怪-06- ページ7
「キヨ君、まず"狐"が何か言わんと」
「俺こういうの苦手なんだよ、P-P説明して」
「えー、僕かあ。……どっから話そうかな」
ぴーぴー、と呼ばれた眼鏡の青年は腕を組んで思案する。
「えっと、とりあえず自己紹介からするね。僕はP-P。この何も考えてなさそうなのがレトルトさんで、こっちの肩パンしてきそうなのがつわはすくんね。キヨさんのことは知ってるでしょ?」
矢継ぎ早に行われる人物紹介に、頭の中で名前を繰り返して必死で覚えていく。
「で、僕たちはとある理由から一緒に住んでて、それがさっき言った"狐"とも関係してくるんだ」
なるほど、とは言うものの、話の概要は全く入ってこない。とにかくキツネというものがあって、それが原因で私が困っている。ここまではわかった。
「まあ言っちゃうと、………僕たちはモノノ怪だ」
モノノケ、という聞き慣れない単語に顔をしかめる。
「モノノ怪ってのは、まあ幽霊とか、妖怪とかに憑かれてる人のことを言うんだけど…、憑かれたものと人によっては、それが制御できずに暴走してしまうことがある」
『……つまり、私はキツネに憑かれて、それを制御する力がなかったから周りの人がおかしくなっちゃったんですか?』
「君みたいな頭のいい女性は好きだ」
P-Pさんの「スキ」という言葉に、ぞわりと寒気がする。それはP-Pさんが嫌だからと言うわけでは決してなく、部長の変貌を思い出してのことだった。
「で、モノノ怪と呼ばれる人は特殊な力を持っているものなんだ。君の場合は、人を惑わせるというものだね。人を惑わせる特長があるモノノ怪は僕らの間で"狐"と呼ばれている」
まるで夢物語みたいな展開。けれどP-Pさんは嘘をついているようには見えなかった。
部長や私の周りの急変を目の当たりにした以上、そのような力があるといわれてもなんだか納得してしまう。
『なぜ私に狐が憑いたんでしょう…』
「それはわからない、けれど最近三大妖怪と言われる九尾のモノノ怪が姿を消したんだ。それがきっかけかもしれないね」
『治す方法はないんですか?』
「モノノ怪っていうのは、通常生まれつきのものなんだ。こういうケースは聞いたことがない」
前例がないと聞いてフッと血の気が引いた。P-Pさんはそれに気付いたのか、励ますように軽く笑って見せる。
「大丈夫、狐の力を抑えることは出来るから。そこから一緒に解決策を探していこう」
P-Pさんの優しい目つきに、頷く他なかった。
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赤の黒犬 - 昔の実況を見ていたら、キヨさんが夢を中々見ないと仰っていて、そこから来たのかなーとか考えられて凄く面白かったです。 (2021年7月1日 0時) (
レス) id: ba80b57016 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 平和組の皆さんが可愛すぎて泣ける!!この物語を見ていると引き込まれていくので時間が短く感じます！頑張ってください！！ (2015年11月2日 0時) (レス) id: 4732783237 (このIDを非表示/違反報告)
咲嶋.ぼ(プロフ) - お話の構成がとてもしっかりしており、凄く引き込まれる作品で 大好きです。更新待っております。 (2015年9月9日 1時) (レス) id: 573b4c2ac8 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白いです！たまにはいる挿し絵？も可愛いですね！ これはもう更新しないのですか？ まってます (2015年8月22日 23時) (レス) id: 016ebdc3e0 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。文章や言葉のチョイスに心を鷲掴みにされました。また随所で入るイラストも私にはドストライクで、この小説と出会えてよかったです。 (2015年8月16日 14時) (レス) id: ffefa26ae0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年2月9日 17時
