第陸章 獏は夢みし-03- ページ48
コンコン
時間も12時を回ったのに誰かが俺の部屋のドアを叩く。
今のところ誰も寝ているやつはいないみたいだし、いったい誰だろうか。
「あいてるけど」
横たわっていた体を起こして、ベッドに腰掛けながらそう声をかければ控えめにかちゃりとドアが開けられる。
『失礼、します』
「…おう」
そこには短パンにTシャツ姿のAが立っていて、手にはタオルが握られていた。
今までこいつのことを考えていたものだから気恥ずかしさで目を逸らす。
「なに、どうしたのさ」
『今日はキヨさんを寝かしつけに来ました』
「…は？」
Aはヅカヅカと部屋に入って、驚いて何も言えない俺の隣に座った。
『あの時は寝なくていいってキヨさん言ってたけど、でも寝ないと体壊しちゃいます』
「…それは、そうだけど」
あの時と同じ、俺を心配するようなAの顔。
心がざわついて落ち着かない。
『だから、…はい！』
Aは何を思ったかそのまま自分の太ももにタオルかけると、ポンポンとそこをたたいた。
「…なにこれ」
『ぴーちゃんに聞いたんです。リラックスして寝るにはひざまくらが一番だって』
Aは誇らしげにそう言うが、きっとこいつはP-Pにからかわれているということに気づいていないのだ。頭が痛くなる。
『…？寝ないんですか？』
「お前なぁ……、」
一体お前は何の為に数珠をつけているんだと叱ってやりたくなった。Aはもしかしたら、俺がこいつを襲った部長と同じ"男"であることを忘れているのかもしれない。
けれどなぜだろう、今日一日でどっと疲れたからか、俺はAを窘める気にはなれなかった。
「…後でやだって言っても知らねーからな」
俺はそう断ってAの太ももに頭を乗せる。タオル越しから伝わるAの温度がじんわり俺を温めて、瞼がゆっくりと閉じられた。
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赤の黒犬 - 昔の実況を見ていたら、キヨさんが夢を中々見ないと仰っていて、そこから来たのかなーとか考えられて凄く面白かったです。 (2021年7月1日 0時) (
レス) id: ba80b57016 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 平和組の皆さんが可愛すぎて泣ける!!この物語を見ていると引き込まれていくので時間が短く感じます！頑張ってください！！ (2015年11月2日 0時) (レス) id: 4732783237 (このIDを非表示/違反報告)
咲嶋.ぼ(プロフ) - お話の構成がとてもしっかりしており、凄く引き込まれる作品で 大好きです。更新待っております。 (2015年9月9日 1時) (レス) id: 573b4c2ac8 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白いです！たまにはいる挿し絵？も可愛いですね！ これはもう更新しないのですか？ まってます (2015年8月22日 23時) (レス) id: 016ebdc3e0 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。文章や言葉のチョイスに心を鷲掴みにされました。また随所で入るイラストも私にはドストライクで、この小説と出会えてよかったです。 (2015年8月16日 14時) (レス) id: ffefa26ae0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年2月9日 17時
