閑話休題 猫背負う-01- ページ42
『キヨさんって、猫背ですよね』
私のその発言を、即座に肯定する人は誰もいなかった。
午後10時頃、いきなり自室に籠ってしまったキヨさんを見送った後、私はかねてから気になっていたことを残りの三人にぶつけたのだ。
けれど彼らの反応は私の望んでいたそれではなくて。
｢…猫背かな？｣
｢俺は感じたことないけど｣
｢僕もそんなに｣
レトルトさんが一度否定すれば、皆口々にそういう。共に暮らし始めて3ヶ月足らずの私ですら気になったのだ、それより長く共にいる3人が気づかないはずはないのに。
｢スポーツやってたからかはわからないけど、立ち姿は綺麗だと思うよ｣
『そうなんですけど…一緒に歩いてるときとか凄く猫背になりません？』
そう言うと、P-Pさんは何か気づいたように目を細める。
｢それは多分、Aちゃんの目線に合わせてるんだよ｣
｢キヨ君、ああ見えて紳士やからねえ｣
｢無意識的に女の子にはそうやってるのかもしれないな｣
そこまで聞いて少し納得する。女性の平均身長を知らないので私が女性として大きいのか小さいのかはわからないが、4人の中で一番小さいのは確実に私だ。
『そっか、キヨさんなりの気遣いだったんですね』
何を考えているのかわからない少し怖い人だと思っていたけど、根は本当に優しいんだな。
そう考えればつっけんどんな彼の対応も少しかわいく思えてしまった。
*閑話休題 猫背負う*
｢Aってキヨさんと仲良いの？｣
お昼休み学食で友達とお昼を食べていると、友達がそう問うた。少し考えてから否定する。
『別によくはないかな。同じサークルだから話すことはあるけど』
｢へえ、よく話せるね。あんな怖い人と｣
『怖いけど、優しい人だよ」
そう言えば友達は信じられないと言ったように眉を顰めた。
「だって、あの人凄い睨んでくるじゃん。背が高いからって見下すような感じでさあ」
『…そう？』
私はあまりそう感じたことはなかった。きっと、この間キヨさんの気遣いに気づいたからだ。
目付きが悪いキヨさんはキヨさんなりに目線を合わせてくれている。そう言おうと思ったが、なんだかキヨさんの肩ばかり持つのもと思い止まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 858人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤の黒犬 - 昔の実況を見ていたら、キヨさんが夢を中々見ないと仰っていて、そこから来たのかなーとか考えられて凄く面白かったです。 (2021年7月1日 0時) (
レス) id: ba80b57016 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 平和組の皆さんが可愛すぎて泣ける!!この物語を見ていると引き込まれていくので時間が短く感じます！頑張ってください！！ (2015年11月2日 0時) (レス) id: 4732783237 (このIDを非表示/違反報告)
咲嶋.ぼ(プロフ) - お話の構成がとてもしっかりしており、凄く引き込まれる作品で 大好きです。更新待っております。 (2015年9月9日 1時) (レス) id: 573b4c2ac8 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白いです！たまにはいる挿し絵？も可愛いですね！ これはもう更新しないのですか？ まってます (2015年8月22日 23時) (レス) id: 016ebdc3e0 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。文章や言葉のチョイスに心を鷲掴みにされました。また随所で入るイラストも私にはドストライクで、この小説と出会えてよかったです。 (2015年8月16日 14時) (レス) id: ffefa26ae0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年2月9日 17時
