第肆章 鼬の習性-03- ページ32
*
この4人の中で、キヨさんの次に私と距離があるのはつわはすさんだと思う。
キヨさんほど直接的に私を拒絶するわけではないが、つわはすさんと話していてもどこか上の空でたまに困ったように笑うのが、私は少し悲しかったりする。
｢これで全部?｣
『あとお米だけです』
｢わかった、取ってくるわ｣
買い物に行ってくると伝えればついてきてくれる程度には嫌われていないのだと思うけれど。
コーナーの角を曲がるつわはすさんを見ながらそう思う。
あの家に住み始めてから積極的に家事をやっているが、これで本当に住む権利が生まれるのかどうか時々不安になってしまう。
どうすれば彼らと一緒にいていいのか、何をすればこの幸せに見合う等価を与えられるのか。
考え込むと俯いてしまう癖があって、気が付けば私は自分の足元を見ていた。
ふと、どこかでパキ、とガラスにヒビが入ったような音がして顔をあげる。
辺りを見回すがどこにも割れるようなガラスはない。
気のせいだったのかな、と視線を下に戻せば、左手にしていた数珠にヒビが入っていることに気がついた。
…嫌な予感がする。
『ちょ、や、なんで…』
数珠のヒビはみるみる内に広がって、とうとう中の薬がこぼれだしてきた。必死に手で受け止めるがあまり意味はなさそうだ。手に触れた瞬間薬は蒸発したように消えてなくなってしまう。
『待って待って待って、』
手の中に零れた薬はすべてなくなった。粉々になってしまった水晶をかき集めても元に戻るわけもない。
つわはすさん、とすがるように彼の消えた角を見るがつわはすさんは戻ってこない。
ポンポンと肩を叩かれ、振り返った先には見知らぬ男性が三人立っていた。
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赤の黒犬 - 昔の実況を見ていたら、キヨさんが夢を中々見ないと仰っていて、そこから来たのかなーとか考えられて凄く面白かったです。 (2021年7月1日 0時) (
レス) id: ba80b57016 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 平和組の皆さんが可愛すぎて泣ける!!この物語を見ていると引き込まれていくので時間が短く感じます！頑張ってください！！ (2015年11月2日 0時) (レス) id: 4732783237 (このIDを非表示/違反報告)
咲嶋.ぼ(プロフ) - お話の構成がとてもしっかりしており、凄く引き込まれる作品で 大好きです。更新待っております。 (2015年9月9日 1時) (レス) id: 573b4c2ac8 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白いです！たまにはいる挿し絵？も可愛いですね！ これはもう更新しないのですか？ まってます (2015年8月22日 23時) (レス) id: 016ebdc3e0 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。文章や言葉のチョイスに心を鷲掴みにされました。また随所で入るイラストも私にはドストライクで、この小説と出会えてよかったです。 (2015年8月16日 14時) (レス) id: ffefa26ae0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年2月9日 17時
