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第壱章 君は愛しいモノノ怪-01- ページ2

「Aちゃん、今日の飲み会来るよね?」




サークルの部長がニッコリと私に笑いかける。つられて軽く口角を上げた。

『すみません、今月ピンチで』

「大丈夫、飲み代は会費で出してあげるから」

『いや、私だけそういうわけにもいきませんし』

「いいの、Aちゃんに来て欲しいの」

綺麗だと褒められるようになってから、こういうあからさまな優遇も多くなってきた。私の意思に反して優遇と礼賛は日に増して激しくなり、それと共に私の中にある違和感も大きくなっていく。


「お願い、俺のためだと思って」

『はあ…』


最初こそ垢抜けない私を皆で弄っているのかと疑っていたが、どうやらそういうわけでもなさそうだ、とスッピンにジャージで歩いているさなかに褒められてからそう思うようになった。

今まで私には見向きもしなかったサークルメンバーや同期が当たり前のように私を囲む毎日は、本当に。








(…気持ち悪い)




気持ちが悪いのだ。

私が優遇されることに誰も何も言わない。男の子は勿論、女の子すらも。

私が授業に行けば同級生たちが必ず席を用意しているし、学食に行けば知らない人がお金を出してくれる。帰りに校門を出れば誰かが手配したタクシーが待っている。学生寮の郵便受けは私へのプレゼントで溢れ、外に出れば声をかけられる。



気持ちが悪いのだ。

初対面の人間に羨望のまなざしを向けられることも、訳の分からない贈り物をされることも、私にとっては全く気味の悪い話だった。いきなり、と言っていいほど急に始まったそれはあまりにも私の身に余る。もともと私はそんな扱いを受けるほど出来た人間じゃないし、人からの好意を疑いもせずに受け取れるほど順風満帆な人生だったわけでもない。皆に愛されるような存在だった覚えもない。



例えば昨日まで灰かぶりだった冴えない召使が、いきなり一国の王子から運命の女性だとプロポーズを受けたなら、人は素直にそれに応じるだろうか。
今の私は本当にそれくらいの心境だった。

第壱章 君は愛しいモノノ怪-02-→←第壱章 君は愛しいモノノ怪-00-



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赤の黒犬 - 昔の実況を見ていたら、キヨさんが夢を中々見ないと仰っていて、そこから来たのかなーとか考えられて凄く面白かったです。 (2021年7月1日 0時) (レス) id: ba80b57016 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 平和組の皆さんが可愛すぎて泣ける!!この物語を見ていると引き込まれていくので時間が短く感じます!頑張ってください!! (2015年11月2日 0時) (レス) id: 4732783237 (このIDを非表示/違反報告)
咲嶋.ぼ(プロフ) - お話の構成がとてもしっかりしており、凄く引き込まれる作品で 大好きです。更新待っております。 (2015年9月9日 1時) (レス) id: 573b4c2ac8 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - とても面白いです!たまにはいる挿し絵?も可愛いですね! これはもう更新しないのですか? まってます (2015年8月22日 23時) (レス) id: 016ebdc3e0 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。文章や言葉のチョイスに心を鷲掴みにされました。また随所で入るイラストも私にはドストライクで、この小説と出会えてよかったです。 (2015年8月16日 14時) (レス) id: ffefa26ae0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:宮前 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels  
作成日時:2015年2月9日 17時

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