助けてヴァンパイア! ページ1
民俗学の研究をしていた父曰く、人の中には僕たちが到底理解出来ないような行動が習慣化している者たちがいるそうだ。
そしてそれは、一世紀二世紀前からの習慣ということでもないらしい。もっともっと昔、人類が誕生した頃からのごく一部の人間の習慣が、今もなお遺伝して習慣づいている。
例えば食べ物。僕ら日本人では当たり前な食べ物である海藻は、どうやらヨーロッパの人たちには受け入れられないらしい。
僕たちは先祖代々学習しているのだ。「何が我々の食べ物として相応しいか？」ということを。
そしてもしも先祖代々がこう気づいてしまったら、今を生きる僕たちにはどんな変化があるだろうか？
――――――「人間の血は他の食べ物の追随を許さない優秀な栄養である」
人はこれを吸血鬼と呼ぶ。
*教えてヴァンパイア!!!*
民俗学の権威と名高い父が先日死んだ。
研究にばかり目を向けていた父に愛想を尽かした母は、結婚早々に金目のものすべてを持って夜逃げしたらしい。まだ乳飲み子だった俺を置いて。
俺が居ればバツイチ子持ち、しかも自分の金も減る。まだ若かったらしい母からしてみれば俺は価値がなかったようだ。
けれどそんなことはどうでもよかった。ただ、これで俺も天涯孤独の身かあと思うと、顔も覚えていない母に思いを寄せることだってある。
「この度は御愁傷様です」
『お心遣い痛み入ります』
何度このやり取りを繰り返したろう。一丁前に喪主なんか務めてしまって、人様の前に立って。何分その業界では有名な父だったから、父に最期に会いに来てくれる人もそれなりにいるわけだ。
母が金目のものを持って行ったのも俺が生後半年のころ、つまり今から20年以上前の話で、この20年間で貯まった父の遺産はこれから先俺一人で生きていく分には十分なほどだった。
資料を置く場所がほしいからと買った豪邸も、もちろんお金もあるけれど、研究にすべてを費やしながらも俺のことをきちんと愛してくれた父はもういない。
父が好きだった。きっと貴重な文献だったはずなのに、俺が汚い手で触ることを許してくれた父が好きだった。民俗学のことを少年のような瞳で語る父が好きだった。
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宮前(プロフ) - セナさん» 更新しました！！待たせてごめんね (2023年3月22日 0時) (
レス) id: 98e6cc7239 (このIDを非表示/違反報告)
セナ - すごく面白いですね！更新はもうされないのですか？待ってます！！ (2019年3月9日 20時) (レス) id: 85b2107901 (このIDを非表示/違反報告)
宮前(プロフ) - 漆葉さん» わーい！覗いていただきありがとうございます！がんばって更新します〜！コメントありがとうございました！励みになります！ (2016年11月14日 21時) (レス) id: 6f9567900a (このIDを非表示/違反報告)
漆葉 - 久々に覗いたら新作があったので興奮しながら読んでました。読んでいて、とても楽しかったです( ´ ▽ ` ) 更新楽しみにしてます！ (2016年11月13日 21時) (レス) id: de634fef1e (このIDを非表示/違反報告)
宮前(プロフ) - ディアさん» 最高の感想ありがとうございます！思わず血を吸われたくなるような色気を目指して頑張ります！ (2016年11月2日 22時) (レス) id: ec275561ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2016年10月27日 18時
