第捌章 件の一件-03- ページ6
『…あの人たち？』
私が恐る恐るそう問いかければ、レトさんは気まずそうに私に笑いかける。
「えっとなあ、京都でモノノ怪使って荒稼ぎしてる悪者集団がおんねん」
「レトさん、それはちょっと語弊があるよ」
ぴーちゃんがレトさんを嗜めて、今度はぴーちゃんが私に笑いかけた。
「簡単に言うと、僕らの友達だよ。モノノ怪のね。Aちゃんの部屋の家具とか、服とか、そもそもこの家を僕らにくれたのも彼らなんだ」
『…お金持ちなの？』
「なんせ荒稼ぎしとるからな！」
素直に思ったことを言えばレトさんは得意げにふふんと鼻を鳴らす。
「だからそれはいいから、レトさん」
『…みんなとは仲良くないの？』
少し怖かったが、恐る恐るそう聞いてみる。先程と違ってみんなの顔は和やかで、ホッと息をついた。
「悪くはないと思うけど、でも、まあ……いろんな意味で濃い人たちだよ」
「なんていうか、会うのは楽しいんだけど疲れんだよな」
「正直Aちゃんと会わせたないわあ。確実に人生に悪影響与える気がするもん」
仲の良さを聞いてみればみんな口々に軽口を叩く。先ほどの沈黙の理由はこれだったのだろうか。なんだかいまいちしっくりこなくて首をかしげる。
「―――…でも、Aがこれからどうするべきかを知るためには会ったほうがいいよな」
キヨさんがそう言って、他の三人が急に黙った。
けれどこの沈黙は先ほどとは違う。きっと肯定の意味の沈黙だ。
『何か、そういうのがわかるモノノ怪の方がいらっしゃるんですか』
「情報収集に関しては俺らより優秀な人たちだと思う。会ってみるか？」
そう言われて、今度は私が黙ってしまう。
…正直に言えば、みんなの沈黙が気にならないわけではなかった。
まるで私とその人たちを会わせたくないよさそうな、可能であるならばその話題に触れたくなさそうな、そんな雰囲気の中会うかと言われて即答はできなかったのだ。
けれど、実際私はこのモノノ怪のせいで4人に世話になっている。迷惑をかけている。
彼らと対等な関係になる為に、私はどうしてもモノノ怪から脱したかった。
そうなればもう答えは決まっている。
『…行きます、京都。その人たちに会わせてください』
*第捌章 件の一件*
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赤の黒犬 - このほんわかした世界観とモノノ怪というダークな感じが相まって最高です。キャラの能力も個性を捉えているし、夢主の性格も女々し過ぎず、強がり過ぎずで超好きです! (2021年8月26日 2時) (
レス) id: 514ce3668f (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 初めまして！とても面白くて自分の好みです！もう更新されないのですか？急かすつもりはないのですが、続きを読みたくてコメントさせていただきました。私の中の大好きな作品です(*´ω`*) (2017年10月25日 1時) (レス) id: 65cdfd6af1 (このIDを非表示/違反報告)
はく - お久しぶりの更新ですね。あ、申し遅れました。自分ははくと申します。コメントはしませんでしたが、前から読ませていただいてました。文章の書き方が好きです。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: c1ae332ddd (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - このお話とても大好きで何度か読み返したりしてます！ 久し振りの更新とても嬉しいですー(^o^) これからも頑張ってください！ (2016年8月31日 16時) (レス) id: 0930a1d22b (このIDを非表示/違反報告)
ぱっぱか(プロフ) - 久しぶりの更新、お待ちしてました…！この作品が本当に素敵で大好きなので、更新がまた始まるのがとても嬉しいです！日々の楽しみにさせていただきます。 (2016年8月31日 7時) (レス) id: 30b8db8aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年12月14日 2時
