第捌章 件の一件-01- ページ4
「キヨォ、お前サークル合宿行くよな？」
ある日の昼下がり、あれからすっかりおとなしくなった部長がふと部室で漫画を読んでいた俺に話しかける。
今年は京都だぞおと嬉しそうに部長が言うなか、サークル合宿いつだったっけと少し考えてからそういえば合宿に合わせてバイトのシフトをずらしてもらったのだと思い出した。
「あー、はい、行けます」
「おお、キヨが行くなんて珍しい」
「？ そっすか？」
行くと言った途端部長が意外そうな声を上げて少し疑問に思う。毎回ではないにしろ、別にイベントに参加していないわけでもないのだが。
「だってお前、泊まりはいやだって2年のころ散々拒否ったじゃん」
言われてみて、はたと気づく。そう言われてみれば一年前は可能な限り女性からの接触を避けようと長時間のイベントには参加していなかったっけ。
けれどいまはそんなこと思いつきもしなかった。
「なんか最近変わったよね、お前。もちろん良い意味で」
なんだ、彼女でもできたか？部長が楽しげにそう言って、俺は思わず首を振る。
彼女なんかいない。作ろうと思ったこともない。
女性は今でも苦手だし、可能であれば接触したくないのは確かだ。
ただ、一年前と変化したことといえば――――――……。
*
『…私、ですか？』
晩御飯中、キヨさんにいきなり話しかけられ何かと思えばサークル合宿の話だった。
「ああ。行くの？お前」
『京都に2泊3日ですよね、一応日程は空けてありますけど』
けれどあまりお金に余裕もないし、行く気はそんなになかった。そう言おうと思ったら京都と聞いてレトさんが目を光らせる。
「京都！？ええなあ、Aちゃん京都行くんや！俺も行きたいなあ！」
『レトさん、そんなに京都が好きなの？』
「レトさん京都生まれだもんね」
ぴーちゃんがそう教えてくれて初めて、私はレトさんが京都出身だということを知る。
『そうだったんだ、私京都はおろか都内からも出たことないや』
思い返してみれば学校行事の修学旅行なんか行ったことがなかった。もちろん家族旅行になんか連れて行ってもらったことなどないし、大学生になってもバイト三昧で友達と旅行や遠出に行く暇なんかなかったなあと、しみじみ昔に思いを馳せると気が付けばレトさんが泣きそうな顔をしている。
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赤の黒犬 - このほんわかした世界観とモノノ怪というダークな感じが相まって最高です。キャラの能力も個性を捉えているし、夢主の性格も女々し過ぎず、強がり過ぎずで超好きです! (2021年8月26日 2時) (
レス) id: 514ce3668f (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 初めまして！とても面白くて自分の好みです！もう更新されないのですか？急かすつもりはないのですが、続きを読みたくてコメントさせていただきました。私の中の大好きな作品です(*´ω`*) (2017年10月25日 1時) (レス) id: 65cdfd6af1 (このIDを非表示/違反報告)
はく - お久しぶりの更新ですね。あ、申し遅れました。自分ははくと申します。コメントはしませんでしたが、前から読ませていただいてました。文章の書き方が好きです。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: c1ae332ddd (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - このお話とても大好きで何度か読み返したりしてます！ 久し振りの更新とても嬉しいですー(^o^) これからも頑張ってください！ (2016年8月31日 16時) (レス) id: 0930a1d22b (このIDを非表示/違反報告)
ぱっぱか(プロフ) - 久しぶりの更新、お待ちしてました…！この作品が本当に素敵で大好きなので、更新がまた始まるのがとても嬉しいです！日々の楽しみにさせていただきます。 (2016年8月31日 7時) (レス) id: 30b8db8aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年12月14日 2時
