第捌章 件の一件-15- ページ18
「…は？」
「やから、彼氏の一人でもおらんのかいて」
ふざけているのかと思ったが、フルコンさんはいたって真面目そうに腕を組んでいる。
それどころか湯毛ぽやとわぽんですら刺さんばかりの視線で俺を見つめていた。
「…え、たぶん……いないと思うけど」
言ってすぐ、フルコンさんは勝ち誇ったかのように湯毛ぽととわぽんの二人を見る。
「っほらみい！！！！俺の勝ちや！！！！！！」
「っだー！なにしくさっとんねんお前らは揃いも揃って！！！！」
「やから言うたんですよこいつらにそんな勇気ないてぇ！」
いい年してぎゃーぎゃーと騒ぐ彼らに、俺はまるでついていけていなかった。
3人は騒いだかと思えばおもむろに湯毛ぽととわぽんが財布から千円札を出してフルコンさんに渡す。
「残念やったな！いくら可愛いかてこの草食集団がAちゃんと付き合うわけなんかないやろ！」
「いけるとおもったんやあ〜〜〜信じてたんや同居という無限の可能性を〜〜〜」
「あーこれ牛沢さんにも払わなあかんのかー、腹立つな」
3人の会話の内容で、すごく悪い予感がして俺は尋ねる。
「まさか俺たちがAと付き合うかどうかに賭けてたってこと？」
「なっはっは、まあ言うたらそうやな！」
「はあ！？意味わっかんねえ！」
それの確認のためだけに俺は一人残されたのか？緊張していた体の力が一気に抜けた。
「大体なあ、あそこの家は童貞しかおらんのやで」
「おい決めつけやめろ」
「キヨなんかいっちゃんアレやないか。自分ら一緒に住み始めてどのくらい経つんやっけ？」
「え、…4か月、とか」
「4か月かけて「さん」づけに敬語てどないやねん！もっとぐいっといけぐいっと！」
湯毛ぽが八つ当たりのようにそう言って、頭をガツンと殴られたように気持ちになる。
たしかにAは俺に対しては敬語出しさん付けだ。
他の三人はどうだったっけ？
レトさん、ぴーちゃん、つわはすくん。
Aがあいつらを呼ぶ声が頭の中で反芻される。一番年の離れているレトさんですらタメ口だしあだ名じゃないか。
だからどうというわけではないけれど。けれど。
*
『キヨさん？』
肝試の最中、やけに無言を貫くキヨさんに不安になって話しかける。
はっと顔を上げたキヨさんと目が合って、また目を逸らされた。
「あー、ごめん」
『…大丈夫ですか？なんだか、さっきから元気がないような気がして』
折角のサークル旅行なのに、私と一緒に居すぎただろうか。
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赤の黒犬 - このほんわかした世界観とモノノ怪というダークな感じが相まって最高です。キャラの能力も個性を捉えているし、夢主の性格も女々し過ぎず、強がり過ぎずで超好きです! (2021年8月26日 2時) (
レス) id: 514ce3668f (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 初めまして！とても面白くて自分の好みです！もう更新されないのですか？急かすつもりはないのですが、続きを読みたくてコメントさせていただきました。私の中の大好きな作品です(*´ω`*) (2017年10月25日 1時) (レス) id: 65cdfd6af1 (このIDを非表示/違反報告)
はく - お久しぶりの更新ですね。あ、申し遅れました。自分ははくと申します。コメントはしませんでしたが、前から読ませていただいてました。文章の書き方が好きです。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: c1ae332ddd (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - このお話とても大好きで何度か読み返したりしてます！ 久し振りの更新とても嬉しいですー(^o^) これからも頑張ってください！ (2016年8月31日 16時) (レス) id: 0930a1d22b (このIDを非表示/違反報告)
ぱっぱか(プロフ) - 久しぶりの更新、お待ちしてました…！この作品が本当に素敵で大好きなので、更新がまた始まるのがとても嬉しいです！日々の楽しみにさせていただきます。 (2016年8月31日 7時) (レス) id: 30b8db8aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年12月14日 2時
