第捌章 件の一件-10- ページ13
『モノノ怪探偵事務所？』
「そう、俺らはな、モノノ怪使こうて探偵業やっとんねん」
フルコンさんは自慢げに他の方々の紹介をしていく。
「これ、とわぽん。付喪神のモノノ怪でな、物の声が聞こえるねん」
フルコンさんは着物の青年を指さして、とわぽんと呼ばれた青年はぺこりと頭を下げる。
「で、これがうっしー。
未来。そう言われて私は目を見開いた。
もしも未来が見えるなら、私がこの先どうなるかだってきっと分かるはずだ。期待を込めてうっしーさんを見ればうっしーさんは面倒くさそうにガシガシと頭を掻きながらため息をついた。
「言っとくけど、お前の未来なんか教えてやらねえからな」
『、え』
「うっしーのモノノ怪の件はな、他人に未来を教えると死んでしまうねん」
フルコンさんがそうフォローを入れて私は何も言えなくなる。知らなかったとはいえ人の命にかかわるようなことを期待してしまった自分が恥ずかしい。
『…すみません』
「ええねんええねん。あいつこう見えて優男やからな、直接とは言わんでもヒントくらいはくれんねん。聞き逃さんとき」
「フルニキは黙っててくれませんかねえ」
うっしーさんは眉をひそめてフルコンさんを見る。照れ隠しやとフルコンさんがまたフォローした。
「で、残りのこいつはゆげぽ。豆腐小僧や」
『豆腐小僧？』
「豆腐を作るモノノ怪や。ゆげぽの作る豆腐めっちゃうまいねんで」
「自分、いまそれだけかいって思ったやろ」
ガタイのいい青年がそう言って私は必死に首を振った。けれど確かにモノノ怪探偵事務所だと考えると豆腐小僧の役目はあまり想像ができない。
「ま、ゆげぽは力仕事要員やな。あとおやつ要員」
「ほら、湯豆腐や。好きなソースかけて食べ」
ゆげぽさんはかちゃかちゃと私たちの前に豆腐を出してくれる。目の前には醤油からあんみつから、色々なニーズに合わせたソースが所狭しと並べられていた。フルコンさんはそのうちきなことあんみつを豆腐にかけて一気に食べる。
「Aちゃんも食べや。おいしいで」
『は、はい、ありがとうございます』
私も塩を一振りしてから湯豆腐を口に入れる。キヨさんは隣で納豆とキムチと醤油をかけて食べだした。
『！おいしい…』
一口食べただけでプリンのようなとろっとした触感が口中に伝わり舌鼓を打つ。
「さて、こっちの自己紹介は終わったで。今度は君らの番やな」
フルコンさんは笑う。
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赤の黒犬 - このほんわかした世界観とモノノ怪というダークな感じが相まって最高です。キャラの能力も個性を捉えているし、夢主の性格も女々し過ぎず、強がり過ぎずで超好きです! (2021年8月26日 2時) (
レス) id: 514ce3668f (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 初めまして！とても面白くて自分の好みです！もう更新されないのですか？急かすつもりはないのですが、続きを読みたくてコメントさせていただきました。私の中の大好きな作品です(*´ω`*) (2017年10月25日 1時) (レス) id: 65cdfd6af1 (このIDを非表示/違反報告)
はく - お久しぶりの更新ですね。あ、申し遅れました。自分ははくと申します。コメントはしませんでしたが、前から読ませていただいてました。文章の書き方が好きです。 (2016年8月31日 20時) (レス) id: c1ae332ddd (このIDを非表示/違反報告)
ハル@チョコレート食べたい系女子(プロフ) - このお話とても大好きで何度か読み返したりしてます！ 久し振りの更新とても嬉しいですー(^o^) これからも頑張ってください！ (2016年8月31日 16時) (レス) id: 0930a1d22b (このIDを非表示/違反報告)
ぱっぱか(プロフ) - 久しぶりの更新、お待ちしてました…！この作品が本当に素敵で大好きなので、更新がまた始まるのがとても嬉しいです！日々の楽しみにさせていただきます。 (2016年8月31日 7時) (レス) id: 30b8db8aba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮前
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=miyamaenovels
作成日時：2015年12月14日 2時
