＊ ページ18
.
孤爪研磨
立見席で北さん、双子と並んで烏野の試合を見ていると少し先のブロックに見えた赤いジャージとプリン頭。
「ちょお人に会ってきます！」
「は？どこ行くんや」
「彼氏ンとこ！」
にしし、と笑ってピースすると
豆鉄砲食らったかのように
目を丸くして驚く3人をよそに
私は愛しの彼氏様の元へ走る。
「けーんまっ！！」
「え、.......あぁ、Aか.......」
「お、稲荷崎の〜」
「あー！音駒の胡散臭い人もおる！
お久しぶりです！」
「胡散臭いっておい.......」
「お隣失礼しまーす」
「え、なんで」
「どーぞ」
「ちょっとクロ」
焦る研磨をよそに私は隣に腰掛けた。
すると黒尾さんは立ち上がって
なにか研磨に耳打ちすると
「じゃあちょっくら行ってくるわ〜」
なんて手を振りながら行ってしまった。
「ほんっと下世話.......」
「なしたん？」
「いや、なんでもない」
「そか」
そこからはお互い試合に見入って
日向くんがすごいプレーを出したりすると
ちょっと嬉しそうな顔をする研磨に
私が笑いをこぼしたり。
「A、寒くないの？」
「ちょい寒いわ、今日パーカー
荷物んとこに忘れてもーた」
いやぁ、うっかりやなぁ、なんてケラケラ笑うと研磨は白いパーカーを私に差し出した。
「着て」
「え、寒ないの？」
「おれは荷物のとこ行けばウィンブレあるし
Aに風邪引かれる方が困るし」
「でも研磨に風邪引かれよるのもなんか嫌や」
「おれ、Aよりは身体強いから」
早く着て、と無理やり押し付けられて渋々着た。
袖を通せば研磨の匂いと柔軟剤の匂いが鼻をくすぐった。
「.......あせってるあせってる」
「ん？」
「こっちの話」
そう言って少し楽しそうに研磨は笑う。
おれ性格悪いのかも、なんて呟いて。
�牴兇里世茘�
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みやこ
| 作者ホームページ：http://uranai.
作成日時：2020年3月12日 16時
