天才で、問題児で。 5【ヒロアカ】 (ページ8)

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父親ページ8

Aside

ドクンッドクンッ。

『思い出したみたいだね、A。』

この声は…

A『父さん！』

また夢の中…、精神世界か。

信司『辛い記憶は…忘れるように春乃が色々とやってみたいだけどね。ま、永遠に忘れたまんまではいれないからね。』

A『！』

母さんが？だから母さんが話してくれた記憶と違う部分があったのか。

A『父さん…、ごめん。あの時、父さんの言った通りにしてれば…。父さんは危ないからって言ってたのに…。母さんも離れてって言ってたのに…。私が行かなければ父さんはまだ…！』

信司『A。“彼”から聞いたろう？僕はAと春乃が笑ってくれればそれで良い。…大丈夫。前を向いて生きてくれることが僕にとっては何よりの幸せなんだ。』

A『っ…！』

信司『それに…、あの時の事、僕は少しも後悔してないよ？』

A『えっ…？』

信司『Aと春乃は僕の宝物。そんな二人を守り切れたんだ。これ以上無いくらいに幸せだよ。ヒーローとして、夫として、父親として。』

ニコッ。

A『っ…うん…。ありがとう…父さん…！』

信司『それに…謝るのは僕の方だし。冥達…夜神家に闇があったのを分かっていながら、救い出すことが出来なかった。Aが苦しんでいるのを知っていながら…何も出来なかった。結果、君の心に深い傷を負わせてしまった。』

A『そんな…！父さんは、私を外に連れ出してくれた。散歩…楽しかったの覚えてる…！』

信司『！』

A『あの時、父さんが連れ出してくれて…ふわふわのお兄ちゃんに会って…楽しかった！一時だけでも楽しいって感情を知れたから私は闇に染まらずに…今こうして笑顔でいられる。ありがとう…父さん。』

ニコッ。

信司『ははっ、うん。…これから先、辛いこと、苦しいこと、あると思う。けど原点を忘れないで。僕はいつでもAの中から守ってる。君の力になるから。』

ポンッ。

父さんは私の頭を撫でた。

信司『記憶を取り戻した事で、僕はもうこうして現れることはない。これで最後だ。…頑張れ、A。Aは誰よりも強くて優しいヒーローになれる。僕は信じてる。』

ニコッ。

A『……うんっ。ありがとう、父さん…！』

ザァァァァッ。

目の前をサクラが覆った。父さんはサクラに包まれて消えてしまった。

寂しさはあった。それでも…不思議と心は晴れ晴れしていた。