天才で、問題児で。 5【ヒロアカ】 (ページ6)

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太陽と空ページ6

no-side

ドクンッ。

また場面が切り替わった。

先程までのAよりも更に小さい頃のA。

まだ、闇に囚われている頃のA。

実の父と母。その本性を知り、全てに絶望していた。モルモットにされ、毎日が苦痛に染まっていた。

ガチャ。

信司『やあ冥！』

冥『兄さん。何の用？』

信司『あ、Aちゃん居た！Aちゃん、おじさんと散歩行かないかい？』

A『さん、ぽ…？』

冥『…悪いけど、Aはそんな暇じゃないんだ。帰ってくれないかな。』

信司『え〜、良いだろ〜。ちょっとだけだからさ！』

冥『いやだから…』

信司『…何か、ダメな理由が？』

冥『……。』

信司『ココだけの話、今ヒーロー界隈で冥達に黒い噂があるんじゃないかって言われてる。』

冥『！……そんな訳ないじゃないか。僕ら家族のどこにそんな噂が……』

信司『そりゃもちろんないとは思ってるよ。ただずっと籠ってばっかじゃ周りも不安に思う訳よ。ご近所付き合いは大事だよ？てことで！Aちゃんと散歩行ってくるから！』

グイッ。

A『あ……』

ガチャ。バタンッ。

冥『…ちっ……。』

スタスタ。

A『あ、あの…おじさん…。』

信司『うん？』

A『わたし、大丈夫だよ…。もう何も、感じないから。何されても、痛くないから。』

信司『っ…！』

信司は下手に手を出せなかった。冥達が何かしている事は分かっているが、明確な証拠がない。

だから時々こうして散歩名義でAを外に出して、せめてもの気分転換に連れ出している。

いつか、いつか必ず救い出してみせると心に留めて。この子に光が差すようにと、願いを込めて。

信司『にしても今日はいい天気だね！風が気持ちいいや！楽しいね！』

A『楽しい……？』

Aは感情を忘れてしまった。いつの間にか、モルモットとして扱われることに慣れてしまい、何も感じなくなってしまった。

信司『そう！楽しい！』

A『楽しい……。』