霞柱とその元恋仲さん

参拾捌 ページ40

時透 side









なんでだよ




なに？ この気持ち





生きてきた中で ２回目の
何も動けないほどの 焦り 怒り 恐怖を感じた





1回目は なんだったっけ 忘れちゃった


この感覚 経験したことがある









足がすくんで



動けない








なに？この気持ち


いますぐに参戦したい


このままじゃ 健くんもお父さんお母さんも死ぬ





「ッッなんで」


「う、動け！！足ィ！！！！！」









ああ ボク こわいんだ








Aの大切な人が居なくなることが




身寄りのない僕。


それでも暖かく迎え入れてくれた


Aの家族が死ぬ事が








だめだ 怖い 動けない

骨の髄から 怯えてる


死にそうなほど早く動く心臓の鼓動





お父さんもお母さんも 絶望にまみれた顔をしてる


健くんも血の気がひいてる






だめだ 助けてくれ


焦ってる こんなに焦ってるのに



''僕達''のお父さんお母さん そして 弟が

こんな状況になってることを 目にして


間に受けてしまって





助けてくれ 動けない









そんなとき Aが到着した








父さん 母さんの所へ一目散に向かったA。


こと切れた2人に声をかけ続ける。



当たり前だ 両親が亡くなってしまったんだから








ちがう








僕がここに来た時は 生きてた 息も今よりももっとちゃんと出来てた脈拍もあった鼓動も正常に動いてた瞳だって動いてたし人間として 生きてたんだ






それを 見てたのに 足が動かせなかった自分




無理だ 助けてくれ 無理だ 動けない






鬼から 長い 腕が健くんの元に



だめだ ！
あんなのが当たったら 健くんの下半身が無くなる


動け！！！！！






『ッッ健！！！！』







グチャア と音がした






でも 僕の足は動かなかった









『お願い…行かないで…ッ！！』



健 「ね、えちゃ、ん…う、まれかわったら、…また、姉ちゃんになってくれ、よ…」


『！！ 当たり前、じゃない…！！』


健「お婿さんは、ッ…とき、とうくんに、ゆずる、や…ハハ、……


姉ちゃん、 生きてな、だいすきだよ、…｣







その声を聞いた時 ハッとした



体の力が抜けて

骨がこおばって 足が動かせた






途端に 今まで 出したこともないぐらいの


涙が頬を伝った

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