【歌い手】スクールライフ＊私がいて君たちがいた＊Ｐａｒｔ２ (ページ4)

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ＫＢってやつ男子ver ページ4

「なあなあっ！この中に好きな子いるヤツ手ぇ上げろー！！」

また始まった。

クラスのお調子者から発せられた声に思わず肩をすくめる。

今は、体育の前の休み時間。

女子が着替えに行っているのをいい事にここぞとばかりに聞いてくる。

真面目に答えるだけ無駄だよね。

何気なく目線をそらして、黙々と着替えていると話を振られた。

「じゃあ次！歌詞太郎！！誰だよーいるんだろ？？みんな言ってるしさっ」

めんどくさいなぁ。

女とかホントに無理なんだけど。

はぁ。

「ん？僕が好きなのは天月くんだけですよ？」

「…おっ前ブレねーな！！勿体ねーよ、せっかく同じクラスにヤマイさんがいるってのに」

「は？何言ってんだよ、ろんさんだろそこは！！」

「はぁ？ろんよりヤマイさんだろ！！」

「おい！！ろんさんを呼び捨てにすんなっ！！」

「ろんろんろん！！」

「うわぁーもう頭来た！！ヤマイヤマイヤマイっ！！」

「ぐわぁっ！」

はぁ。

うるさい。

ろんさんもヤマイさんもどっちでもいいよ。

女なんて。

「…そういえばさ、店長ってヤマイさんと委員会一緒だろ？」

「えー？うん。そーだよ」

「やっぱ狙ってたのか！？」

「え～？違うよぉ。顧問が９６ちゃんだったから。俺が好きなのは９６ちゃんだし？」

「お前もブレねーよなぁ」

「あはは」

どんどんまわっていく会話。

店長は笑顔で即レスだし。

まぁ、その辺の女だったら９６ちゃんのが全然いいと思うよ。

ちっちゃいけどね

「でもさー、ぶっちゃけ９６ちゃんより新任の京本先生のがよくね？」

「あー、Aちゃん？２年の担任の」

「そうそう！なんていうか胸でかいしさ」

「ちょっと抜けてるかんじがあざとくて」

「なんかえろいよな！」

「「「「なっ！！」」」」

なんか意気投合し始めるみんな。

そんな中、不機嫌を隠しきれてない笑顔の店長が僕の名前を呼んだ。

「なんですか？」

恐る恐る聞くと、店長は満面の黒い笑みで

「９６ちゃんの方が全然かわいいじゃんねー」

って言った。

「そうですね」

その時は本気でそう思っていた。

裏表のない笑顔やよく通る声、何事にも全力な姿は素直に尊敬する。

だから、店長が９６ちゃんに魅かれる理由も分かるし応援するよ。

見た目がいい人なんて性格が最悪だって相場は決まってるし。

それに…

「あざとさなら天月くんだって負けてないし」

「あ、あはは」

僕の方も店長に負けず劣らず機嫌が悪かったみたいだね。