腐れ縁 ページ26
「は…？俺？」
怪訝そうに尋ねてくる彼、そらくん。
フルネームとか、今日会ったばっかなのに覚えらんないし。
てか顔覚えてただけ私すごくない？
「うんっ！ごめんね、私物覚え悪くてさぁ〜」
「ふ〜ん…」
あははっ！って笑って言うと、聞いているのかいないのか、よく分からない声が返って来る。
なんだろ、大人しい子なのかな。
「………俺、そらる。ちゃんと覚えて？」
首をかしげて考えてると、急に目を合わせられ、そう告げられた。
すぐにそらされちゃったけど、私の意識に刻まれるのには十分で。
黒過ぎて藍っぽくみえるその瞳は、吸い込まれてしまいそうなほど深い愁いを帯びていて
思わずドキっとしてしまう。
そらくん改めそらるくんの長めの前髪が揺れて目にかかる。
それを煩わしそうに払う彼の挙動一つ一つが、なんていうか、その、
Ｒ指定入りそうなほどの色気だった。
うん。
こんなのが同い年だなんて思えないのは私だけ？
突然の妙な雰囲気に、スズム先輩を振りかえると。
そこには、お腹を抱えて笑い転げている先輩の姿が。
目には涙を浮かべてるし。
「……ちょ！スズム先輩っ！！なんでそんな笑ってるんですかっ！！」
柄にもなくツッコミ役にまわる私と、未だ笑い続けてるスズム先輩。
そしてプリントを拾いを再開したそらるくん。
こんなになった原因が自分だってことに彼は気付いてるのかな？
「えぇ〜？だ、だって松下ちゃん、あはははっ！そらくんとか、ははっ！あははは！」
息も絶え絶えにそう答えるスズム先輩。
笑ってて正直何言ってるかよく分かんなかったけど、そらるくんには伝わったようで。
いい加減笑ってないで拾うの手伝えよ！なんて、顔を赤くして怒る彼。
正直冷たい子なのかな。とか思ってたけど、意外と可愛くて面白い子だったみたい。
なんか、この子にもいろいろあったのかなぁ。なんて漠然と考える。
まぁ５秒も持たなかったけどね。
だって……。
「スズムいい加減手伝えっ！」
「分かってるって、そらくん♪」
「おまっ！……その呼び方やめろ！！」
「えぇ〜？なんでよ、そらく〜んｗ」
なんか急にリア充しちゃってるんだもん！！
こんなの目の前にして考え事なんて私には無理っ！！
とりあえず写メっとこーっと。
あとであんくちゃんにも見せなきゃね♪
「あ、ちょっ！何勝手に写メってんだよ！」
「お、松下ちゃん相変わらずだねぇー」
「うふ腐っ♪」
新たなＣＰみーっけ♪
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作者名：ふくふく | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fukufukuka3/
作成日時：2014年11月6日 14時
