【歌い手】スクールライフ＊私がいて君たちがいた＊Ｐａｒｔ２ (ページ11)

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笑顔ページ11

しばらくして教室に帰ってきたろん。

「ろん着替え遅すぎ～！」

「えへへ～、ごめんねぇ」

「も～。早くこっち手伝ってよねっ！！」

「おっけー」

いつも通りに笑って見せるあたり、器用なのか不器用なのか。

私も人の事を言えるようなほどいい人ではないけど、あれはちょっとね。

自分を隠す事は出来ても、全く新しい人になるのは無理なのよ。

そうやって無理して自分を抑え込んでたら、いつか爆発しちゃうの。

あなたには心配してくれる人だっているでしょ？

たまには周りを頼ったらいいのよ。

嫌な事は嫌って。笑ってごまかしたところで、何も変わらない。

それとも、あの人じゃだめなのかしら？

チラリと彼の方に視線を向ける。

すると向こうもこっちを見ていて、目が合った。

すぐにそらされて、ろんの方に行ったあの人。

ほんとに、大好きなのね。

「ろん、大丈夫？あんま無理すんなよ」

「ん？大丈夫だよスズム～」

「あっそ」

「うん。……大丈夫だから」

少しだけ低くなったその声を聞いて、体ごと視線をそらした。

私の出る幕じゃなかったわね。

あの子が抱えているものは、私が考えてるよりも重いのかもしれない。

それに、あの子を救えるのはここにはいないみたい。

だけど、少しでも軽くしてあげられたら。

そんな事を思うなんて、私はあの子の母親かしら。

ばかばかしいわね、ホント。