幼馴染と遭遇 ページ5
Aは校舎の入口付近にある掲示板でクラスを確認する。ついでにと、名簿でクラスメイトを確認すれば、何名かの生徒は中学から同じクラスだった友人だった。怪我のことも知っており、何かとフォローをしてくれるだろう。
名簿には、何処かで見かけたことのあるような名前もあれば、全く見覚えのない名前も載っていた。その中でAは、「白布賢二郎」という名前を見つけた。
何処かで見たことのある名前だ、とAは思う。中等部の生徒だろうか。いや、この辺りでは珍しい苗字であるから、中等部の生徒であればもう少し覚えているはずだ。バレー関係の誰かだろうか、とAが思考に耽っていたその時だった。
「……A」
「若くん!……じゃなかった、牛島さん」
後ろを振り返ると、そこには幼馴染の若利が制服姿で立っていた。思わず、Aは若利のことをあだ名で呼んでしまったが、此処が学校であることを思い出し、「牛島さん」と言い直す。
「……呼び名を変える必要があるのか?」
「……先輩と後輩ですから。人前では一応、変えておいた方がいいかなぁ、と」
「まあ、いい……今日の調子はどうだ?」
「今日は、それほど冷えてないから大丈夫!」
若利はAに近づくと、気遣わし気にそう聞いた。優しい声だ、とAは思う。何かと誤解されやすい、Aの優しい幼馴染。
Aは憂い事など何もないように、微笑んだ。
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作者名:柊花 | 作成日時:2022年8月27日 19時