第8話 ページ8
.
チャイムが鳴り、見回りをしていた先生から早く教室に行けと注意された。
しかし、角名さんは私の腕を優しく握り、どこかへと連れて行かされる。
『‥‥あ、あの、‥角名さん?』
「‥…ごめん、A。あそこの空き教室でさぼりたくなっちゃって。」
指を指す方向は、前までパソコン室だった教室。
角名さんは軋むドアをゆっくりと開けた。
「‥突然ごめん。ちょっとAと話したい。」
『…あ、全然大丈夫…!授業をさぼるのは別にいいけど、…‥話って?』
「‥‥っはぁ。…‥どこまで優しいだろうね。Aは。」
困るように頭に手をあてて、ため息を落とす。
角名さんは私の話を聞いてくれた、だから私もちゃんと聞かなきゃいけない。
「‥‥あのさ‥‥。さっきの女、どう思った?」
『…‥‥あ…、え?…別に何とも‥。』
「…本当?…あいつ性格悪いから、無理しなくてもいいよ。」
『…本当になんも思わなかった…です。』
‥何も思わなかったのは嘘だ。
「‥‥‥はは。好きって言っておいて他の女もいたなんて、困るよね。」
『‥‥‥‥私は逆に、こんなにモテてる角名さんに好かれてるなんて思うと、嬉しい…かも。
確かに、腕組まれたりするの望んでないって言ったけど、…。』
「…?」
『‥‥それを望ましくなるために、角名さんは恋を教えてくれるんでしょ?』
私の悩みを聞いてくれた、解決してくれようとしてくれたことがすごく嬉しかった。
恋がどんなのかはわからないけど、好きになるなら角名さんみたいな人がいいと思う。
「…ッ‥‥、うん…‥俺てっきり嫌われたかと思った。」
『…ふふ、嫌うなんてしないよ。』
赤く染まる角名さんの顔。
優しくて私を救ってくれた手が私の頬に伝わる。
「‥‥‥‥好きだよ。」
角名さんの手と私の頬が触れたことに、顔は熱を持つ。
何か愛おしいもの見るような角名さんの目が私の方を見て、
そのたった4文字の言葉が私の胸の中に落ちて行った。
112人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハルスケ(プロフ) - 零さん» 零さん!?‥間違えでなければ‥ブラックジャッカルの面倒見役でもコメントしてくださった方ですか?そうであれば嬉しいです!‥これからも頑張ります! (2月8日 16時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)
零 - うぅぅ〜!ハルスケさんの作品、大好きですぅ…!もどかしくてそわそわしちゃうけど、それも良いなぁ…って…! (2月7日 18時) (レス) @page18 id: e8df603e1f (このIDを非表示/違反報告)
紗雪 - ありがとうございます! (1月21日 21時) (レス) id: 2d0dd09cc8 (このIDを非表示/違反報告)
ハルスケ(プロフ) - 紗雪さん» 紗雪さん!応援ありがとうございます!‥あつむ落ちですか…。う〜ん‥‥、次の作品の主人公をアンケートを取って決めるつもりなので、必ずあつむを入れます!それか、あつむ落ちを作ります! (1月18日 17時) (レス) id: 55b59344d6 (このIDを非表示/違反報告)
紗雪 - ハルスケさん!侑落ちの作品描いて欲しいです!それといつも応援しています! (1月18日 3時) (レス) @page9 id: 2d0dd09cc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハルスケ | 作成日時:2023年12月25日 17時