43.一途な気持ち ページ44
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「あ、あつむ……」
勇気を振り絞って、侑の名前を呼ぶ。
周りの女の子達も私に気づいて、少し嫌な顔をしてその場を離れた。
「なんやねん。なんか用か」
「あの…謝りたくて…」
なんて言えばいいのかわからへん。
体が震えた。
「謝罪なんて聞きたくないねん。今はお前の顔も見たないわ。今後俺に話しかけるんなら
ヨリ戻したいの言葉以外は聞いてやらんから」
人がいる教室やのに。
涙が溢れた。
意地悪な言い方で、冷たい言い方やのに…
それは私を許してくれてるってことやろ。
「それ、言うてもええん……?」
「はぁ?」
「ヨリ戻したいって、言うても…ええの?」
侑は驚いた顔をした。すぐに私の腕を引き
速歩きでずんずんと歩いていく。
「ど…どこいくん…」
「泣いた顔なんか見たないわ」
侑が私を連れていったのは、部室だった。
「い…いたっ…」
痛いくらい強く、侑は私を抱きしめた。
「サムのことまだ好きでもそれでもええわ。それよりもっと俺を好きでいろや。
そしたら許したる」
そのまま侑は私を部室の床に押し倒して、深いキスをした。
「しょっぱいわ、ボケ。早よ泣きやめ」
優しくてつかみどころのない治くんに惹かれてしまったのは事実。
でもそんなことも全て飛び越えて、私のことを受け入れてくれている侑には
私も、治くんも…やっぱり勝てなかった。
「侑のことが…一番好きや…」
何度も深く口付けて、私の体を抱きしめる侑に私は身を預けた。
「許してやらんこともないな」
侑は少し笑顔になった。
侑の好きなものに対する気持ちは…誰にも勝てない。
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茜(プロフ) - 蓮華さん» ありがとうございます!!関西弁もこの話もちょっと自信なかったのでそう言ってもらえて凄く嬉しいです!これからもがんばります。 (2018年6月12日 18時) (レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - 完結おめでとうございます!!めっちゃ面白かったです!!私関西に住んでるんですけど、関西弁もしっくりきててめっちゃなんか嬉しかったです笑←これからも応援してます!頑張ってくださいね!! (2018年6月12日 17時) (レス) id: 7a47d30737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茜 | 作成日時:2018年5月27日 2時