37.自覚 ページ38
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｢A、俺ユースの合宿に呼ばれたわ｣
ある日侑がそう教えてくれた。
｢ゆーすの合宿？｣
｢全日本のユースや！｣
スポーツのことをいまいちよくわかっていない私にとっては
なんとなく凄いこと、としかわからないけど
｢プロにも認められてるってことやんな？凄いやん！｣
侑がすごいのは知っている。前バレーボール雑誌にも載ったことがあるし
けれどこんな話を聞くとやっぱり驚いてしまう。
｢治くんもなんやろ？｣
｢いや、違う。俺だけやで。そんな全国レベルでなんでもかんでもサムと一緒なわけないやろ｣
侑は勝ち誇ったように胸を張った。
｢バレーボールは俺のほうがうまい｣
…こういうところや。侑の方が女の子にモテるんは。
自信と、それに見合う実力と、それ相応の努力と信念。
何かギラギラとしたものを感じるんだ。
そういうところが、心を捉えて離さない。
｢全国レベルの奴らと練習できるなんて楽しみやわ。東京でやるから、土産こうてきたるからな！｣
侑のことが大好き。やっぱりこの気持ちは変わらへん。
そやのに、なんで。この気持ちはなんでなんや。
治くんのことが気になる。
｢Aちゃん、慰めてや｣
その日の放課後。部活へ行く途中の治くんに会ってそう言われた。
｢ユースの合宿のこと？｣
｢そうや｣
｢それは…なんで私が慰めんとあかんの…｣
これ以上治くんに関わったら
多分…好きになってしまう。
そんな気がして、少し冷たい言い方をしてみた。
｢そやな、もうAちゃんに近寄るんは…アカンよなぁ｣
治くんはバツが悪そうに頭をかいた。
寂しそうな声。ずるいわ。
｢ごめん。私にはなにも出来へん。けど…｣
ごめん。これで終わりにする。もう全部終わりにする。
体育館の裏へ手を引いて、治くんの体を抱きしめた。
｢元気出して。治くんは、侑とは違う魅力がちゃんとある｣
いつもは自分から仕掛けてきて、余裕そうにしているくせに
治くんはすごく驚いた顔をしている。
｢えっ…どうしたんや、う、嬉しいけど……｣
｢私治くんのこと好きやわ｣
治くんは凄い力で抱きしめ返してくる。
｢俺も…好きや…大好きや…Aちゃんがおったらユースなんてどうでもええわ…｣
私は力をこめて治くんから体を離した。
｢でもごめん。これっきりや。私は侑のことも好きやから｣
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茜(プロフ) - 蓮華さん» ありがとうございます！！関西弁もこの話もちょっと自信なかったのでそう言ってもらえて凄く嬉しいです！これからもがんばります。 (2018年6月12日 18時) (
レス) id: ac176d995c (このIDを非表示/違反報告)
蓮華 - 完結おめでとうございます！！めっちゃ面白かったです！！私関西に住んでるんですけど、関西弁もしっくりきててめっちゃなんか嬉しかったです笑←これからも応援してます！頑張ってくださいね！！ (2018年6月12日 17時) (レス) id: 7a47d30737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茜
| 作成日時：2018年5月27日 2時
