29羽 ページ32
．
やがて、ダメージの影響でまた意識が飛んだ。
☆
目を覚ますと、そこにあった血の海はなく
真っ白な病室の天井が視界いっぱいに広がった。
「…あ、れ……A」
体が言うことを聞かず、起き上がれないため、首を
ゆっくり動かして彼女を探す。
声が掠れて出しにくい。
一体何日気を失っていたんだろう。
キョロキョロしていると、病室の扉からガラリと音がした。
入ってきたのは看護婦さんだった。
「ホークスさん、体調はどうですか？」
「特には…それより、A…ティターニアは」
「あちらのベッドですよ」
奥に、カーテンの閉まったベッドがあった。
俺は止める声なんて気にもとめずに、点滴を掴んで
ベッドから飛び降りた。
「っA、！」
カーテンを開けるとそこに、眠ったAとベッドに
突っ伏す女性。彼女の母親だ。
「…あなた、ホークスさん？」
顔を上げた母親は、俺を見た。
目は腫れて赤くなっている。
「…そうです」
「…」
応えれば、母親は黙り込んでしまった。
見つめる先は、彼女。
すよすよと眠っている。
しばらくの沈黙の後、静寂を破ったのは母親だった。
「…Aはね、
あなたに憧れてヒーローになったのよ。
あんなに、目を輝かせて、あんなに…っ」
言葉を詰まらせ瞳から涙を流して、ベッドのシーツを濡らす。
言いたいことは、何となくわかる。
するとまた、今度はキッと睨んで口を開く。
「っあなたが！！
あなたが…っしっかりしていないから…！
…こんな事になるから、ヒーローなんかっ…
ヒーローなんかやめなさいって言ったのに…！！」
それは、親としての心からの心配だった。
ポロポロと涙をこぼし続ける母親に、俺はできなかった。ただ「…すみません」と謝ることしか。
我に返ったのか、母親は
「…ごめんなさいね、取り乱しちゃって」と呟く。
「…いえ。」
彼女はもう飛べないかもしれない。と、
いつの間に居たのか、医師が言う。
鱗粉がなく、体温調節や水への対応ができなくなっていると。
手術の成功率は半分ほどでリスクが大きいと。
何も言えなかった。
ただ傷の塞がった彼女の羽根を見る事しかできず。
母親は、静かに泣いていた。
俺の容態も説明された。
内臓損傷があったが修復が間に合ったおかげで大事には至らなかったと。
失血多量な分、輸血が必要だと。
俺は軽い方だ。彼女に比べたらよっぽど。
．
「…もう少し、一緒に仕事したかったな」
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NAGI(プロフ) - 花帆さん» ありがとうございます(*^^*)ちょっと終わらせ方悪かったかなって思ってるんですが、番外編とか見たいですかね…？話数は余ってるので、書いてほしいシチュとかありましたら言ってくださいヽ(*´∀｀)できるだけ頑張りますので！笑 (2020年5月13日 9時) (
レス) id: 8404e24904 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 一気に読ませて頂きました！完結おめでとうございます！ ホークスとの両想い良かったです(*´ω｀*) (2020年5月13日 0時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
NAGI(プロフ) - あんみつさん» コメントありがとうございます！あ！やっぱりそうですか？映画のホークスかっこよかったですもんね…！ずっと読んでいただいて嬉しいです！さらにハマっていただけたらいいなと…！応援ありがとうございます！頑張ってまいります！次も読んでくださると嬉しいです！ (2020年1月26日 22時) (レス) id: 8404e24904 (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！私、実は映画でホークス推しになったので……映画に行った直後にこの作品を見つけて読んでたんです。すごい引き込まれる作品でした。また今度の作品も期待してます！頑張ってください！！ (2020年1月26日 19時) (レス) id: 86e8f7f917 (このIDを非表示/違反報告)
NAGI(プロフ) - あああさん» コメントありがとうございます！わ！喜んでくれて嬉しいです笑いつも書く度文おかしくないかなって不安になるんですけどよかった(^^)最後はちゃんとハピエンなので悪しからず…これからも胡蝶の夢をよろしくお願いします！！ (2020年1月5日 22時) (レス) id: 8404e24904 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAGI | 作成日時：2019年12月13日 13時
