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慎吾side
こんなに小さかったんや…こんな小さい体ですべてを抱えてたんや。
何が日本を代表する歌手や。何が世界に認められた歌手や…。
こんなんただの…小さい女の子や。
「甘えんの遅い」
「だってっ…」
「あほ」
「っ…」
「泣いてええから…怖かったやろ」
「怖いよっ…いつも、怖い」
「…俺がおるから」
「慎吾くん…慎吾くんっ」
「そんな、何回も呼ばんでも…おるよ」
頭をぽんぽんと、撫でる。震えているAを落ち着かせるように。
少し泣きやんだところで、ゆっくりと腕の中から出てきた。
「目、真っ赤」
「うるさい」
「かわええけどな」
「っ！」
まだ流れてくる涙を拭って…。
「なぁ、A」
「なに、？」
「普通の幸せ、諦めんといて」
「っ…」
「怖いものは怖いって言えること、泣きたいときに泣けること。それを諦めんといて。Aやって幸せになってええねん。やから…逃げんと…ちゃんと、幸せ掴んで」
「…無理だよ、私には」
「できる。俺もおるやろ、俺がおれば…できる」
「すごい自信…」
「やって、A…俺がおらんとすぐ迷子になるし、意外に人見知りやし…迷子になるし」
「2回言った…」
「でも、俺がおれば何でもできる…一人やとできんことも…できると思うで」
「慎吾くん、本当にいてくれる？」
「いる」
「…なんで？」
なんで、なんでやろう…まぁ、答えは一つなんやけど…。
「…今はわからんでええよ…やから、Aは自分の幸せだけ考えて」
「…慎吾くん、意外に優しいよね」
「意外は余計や。子供の扱いに慣れてるっていって」
「子供、失礼な。大人ですよ」
「大人だったら、ちゃんと自分で幸せになること」
「慎吾くんも一緒にいてね」
「…おるよ」
その言葉の意味をわかっているのだろうか。
なんだか嬉しそうに俺の腕の中にいるAをもう一回強く抱きしめた。
あぁ、幸せ掴めなんて言ったけど…俺がいれば…とか、大口叩いたけど…。
ほんまは、俺が幸せにしてあげたい。
もう少し俺に力があれば…
(君の幸せ作ることができたのだろうか)
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年1月14日 20時
