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37-この出逢いを ページ28

慎吾side



「…眠いならちゃんと寝ればええのに」




ソファーでテレビを見ていたら、
Aが静かに隣に座り…
膝に頭を乗せて寝始めた。

なんやこいつ…と思いながら、
俺の手をぎゅっとし始めて…
起こすに起こせなくなった。


久しぶりに被ったオフ。
Aの家でのんびりすることにした。
見たかった映画を見て、Aが作ったご飯を食べて、
何をするわけではないけれど、それが幸せやった。




「…A、俺といて…幸せ?」




付き合う時に大口をたたいた。
俺といれば幸せや。って…

俺はAを幸せにできているのだろうか。
Aにはもっと良い人がいるんじゃないか。

そう考えたら止まらなくなる。



もし、俺が手放せば…
Aは幸せになれる。
辛い思いをしなくて済む。
会いたいときに会える人で、
活躍している人で…もっと…もっと良い人なんて
Aの周りには沢山おる。




「…し、んごくん…」




溢れる感情を抑えるために、
繋いでいる手に力を入れていたらしい。

それでAが起きてしまった。





「…ごめん…起こした」

「…慎吾君だー」

「そりゃ、俺ん膝で寝てるんやもん」

「…泣きそう?」

「は?」

「泣きそうな顔してる」



手を繋いだまま、膝で寝ているAは俺を見る。
繋いでいない方の手で、頬を撫でられる。
小さい手…冷たい。



「してへんわ」

「…どんな慎吾君でも好きだよ」

「…」

「泣きそうでも笑ってても、
突っ込んでてもぼけてても」

「最後芸人さんみたいやん」

「…野球している慎吾君はもっと好き。
こうやって…手を繋いでくれる慎吾君は…
もっともっと好き」

「っ…」

「あ、泣いた」

「泣いてへん」

「…わ、見えない」



俺も空いている手でAの目を塞いだ。
見られたくない…こんなところ。




「なぁ、A」

「んー…」

「眠そうやな。寝る前に答えて」

「なにを?」

「…俺といて幸せ?」




恐る恐る手をどけて…Aの目を見る。
少しまぶしそうにしながら…



「幸せだよ。だって…慎吾君といられるから…
慎吾君といれば、幸せ…」



寝ちゃいそう…と言いながら、寝始めたA。

あぁ、そっか。幸せなんや。
俺もAも。


こんなに人を好きになったのは初めてだった。
こんなに…人の幸せを願ったのは初めてだった。


出会いは奇跡で、こうして一緒にいる事も奇跡。
この奇跡を…あほみたいやけど


(俺は運命だと言いたい)

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作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月14日 20時

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