35-君との幸せ ページ24
慎吾side
Aが早く仕事終わって、
俺もデーゲームだったということで、
Aの家に泊まりに来ていた。
2人でソファーに座りながら映画を見る。
「なぁ、A」
「ん？」
「明日から遠征やから。俺おらんからな」
「…いつまで？」
「来週の金曜日に戻ってくる」
「…あのさ」
「ん？」
「…寂しいって…言ったら、重い？」
「…おいで」
腕を広げれば素直に来る。
「最近も会えんかったからな」
「…ん」
「戻ってきても会えるかわからんし…」
「…」
「やから、言って。
寂しいとか辛いとか。
もっと甘えろって言ったやろ」
「…だって」
「だってなに」
「嫌われたくない…から」
「…あほ」
「…ひどい」
「あほやろ」
「2回言わなくても」
「あほには…」
少し体を離して目にかかっている前髪をよける。
泣きそうな目をしているAに…
「ちゃんと伝えなあかんな」
「っん！」
頬を両手で包みキスをする。
「し、んごくんっ」
「ん？なに？」
「なに、じゃなくて…苦しいっ」
「やって、伝えなあかんやん」
「だからって」
「好きやで、A」
そう言って、もう一回キスをした。
抵抗するのを諦めたのか、俺の服をギュッと握ってきた。
「んっ…ぅんっ…」
Aの口からもれる甘い声に煽られる。
もっと欲しい…もっと深く…。
苦しそうな声さえも自分の中で、
Aを欲しがる要因にしかならない。
「しっ…ご、くんっ…」
「あぁ、そんな甘い声で呼ばんといてっ…」
「慎吾君のせいっ」
「…なぁ、A」
「な、に」
「抱きたい」
「っ…」
Aが男の人を苦手なのはわかってる。
あんなことがあって…考えたくもないやろ。
でも…前から思っていた。
傷つけないように、そう思って抑えてきたけど…
こんな目をされて、あんな甘い声で呼ばれたら…
もう、あかん。
「俺が怖い？」
「こわ、く…ない」
「…嫌やったら言って」
「…私、」
「うん…」
「いや、じゃ…ないです」
そんなことを言って抱き付いてくるAを、
抱きあげてベッドまで連れて行く。
ゆっくりと下ろして、覆い被さる。
「…怖くなったら言ってな」
「ん…」
「止められるかわからんけど…
努力はしてみる」
「なにそれ」
「やっと笑った…」
「…んふふ」
嬉しそうに俺の腕を掴むA。
あぁ、あかん…
努力はするけど…無理なやつや。
→
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年1月14日 20時
