33-3 ページ21
慎吾side
「Aは?」
「なに、が?」
「俺、一応告白してるんやけど」
「っ…」
「そんな照れんでも…。
はよ答え頂戴」
「そんな事言われてもっ」
「簡単やん」
「簡単って…」
「どーせ、あほなAは…
自分の職業とか俺の職業とか…
今後の事とか一瞬でいろんなころ考えてるんやろ」
そう言うと、目を逸らされる。
ほら、図星。
わかってんねん、Aの考える事なんか。
「そんな事考えんと。
はよ俺の事好きって言えや」
「っ、しん、ごくんっ」
「それしか言う事ないやろ?」
「ずるい」
「自分でも思う。
これでも…焦ってんねん」
「…好きだよ、好き。
慎吾君が好きです」
Aからの言葉を聞いて、
緊張が一気に和らいだ。
倒れこむようにAに抱き付いた。
「重いっ」
「ええやろ。こんくらい受け止めろ」
「重いって…」
「…怖い思いしてすぐにこんなこと言ってごめんな」
「…」
「でも、ちゃんとAにもわかってほしかった」
「なにを?」
「俺がAの事好きで、守りたくて…
大切な存在だって事」
「っ…慎吾君」
「泣いてええよ。
俺の前ではたくさん…泣いてええから」
「っ…」
俺の背中に手をまわしてきたA。
そのまま…ソファーにAを押し倒す。
すぐに、重いと言われたから、
少し体をずらして二人でソファーに寝転がる。
「慎吾君」
「ん?」
「私ね、いつからか…慎吾君が好きだった」
「うん…」
「会いたくて…たくさん話したくて…
いつもあほって言われるけど、迷子常習犯って言われるけど…
それでも、慎吾君に会いたかった」
「…ん」
「…私もね、慎吾君が好きなんだ」
「…ありがと」
止まらない涙を拭って…キスをした。
触れるキスをして離れるけど…
1回じゃ足りなくて、またすぐにキスをした。
あぁ、可愛い。
確かに顔のレベルは高い。
スタイルもいい。
日本を代表する歌手、なんて言われてるけど…
やっぱり、俺にはただの女の子にしか見えない。
「…はよ、涙止めろや」
「無理」
「…どーしたら、止まる?」
「抱きしめてください」
「今も抱きしめてる」
「もっと…」
「はいはい」
狭いソファーの上でぎゅーっと抱きしめる。
腕の中でまだ涙を流すけど…
その涙が嬉し涙であることはわかっている。
これから、きっとたくさん辛いことがある。
でも…それをわかっていても、
俺はAを好きでいたい。
Aを…
(守りたい)
122人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月14日 20時