25-普通の幸せ ページ3
慎吾side
Aが帰ってくる日、デーゲームやから、終わってすぐにAと合流することになっていた。
朝一で東京に帰ってきて、仕事らしい。
あんなことがあった後も、仕事やなんて…普通じゃありえへんやろ。
北海道にいる間は、ずっとファイターズが傍におって、空港へも遥輝さんが送ったって言ってた。
その間、笑っていたけれど…その表情は、曇っていたらしい。
「お疲れっす！」
誠「早いな、なんやデートか」
慎「今、誠司さんに構ってる時間ないっす」
誠「なんやねん、今日一段とそわそわしてるな」
智「それ俺も思った。なに、なんかあんの？」
慎「あぁ、スガコバ…めんどいのに絡まれた〜」
智「本人目の前にして、めんどいって…」
誠「お前も、偉なったな」
慎「もう、ホンマに！間に合わないんで、先に行きます。そこ退いてください」
誠「あ、なんか前にも似たような事あったな。あれか、AAか」
慎「誠司さんどうやったら黙ります？」
智「は！？なんで仲良いの？！え、ずるい！俺も行きたい」
慎「ホンマに来んといてください。誰にも合わせる気ないです」
誠「束縛すると嫌われるで〜」
慎「…大きなお世話です。お疲れ様です！」
智「おい、今度ちゃんと飯呼べよ！」
めんどくさい先輩二人はほっといて…すぐに車に乗り込みAとの待ち合わせ場所に向かう。
なれた道やのに…今日は凄く遠く遅く感じた。
待ち合わせ場所に向かえば…Aはぽつんと立っていた。
「…遅くなってごめんな、乗って」
「ありがと」
助手席を開けて隣に乗るように言う。
その時に、これはきっともう限界なんやな…って感じた。
いつもなら、俺を見つけた瞬間、犬みたいに寄ってきて尻尾を振りながら喜ぶのに。
「待った？」
「待ってない」
「…ごめんな」
「慎吾君が謝るとか、不思議」
「おい」
「ごめんごめん」
笑った…笑ったけど、笑ってない。
なんでそんなにつらそうな顔するん…なんで、そんな悲しい顔するん？
なんで…笑えなくなってるん？
「特に店予約してないんやけど…お腹空いてる？」
「…空いてない、かな。慎吾くんは？」
「俺も…ドライブするか」
「明日は？」
「オフ。Aは？」
「オフ」
「お、珍しいやん。ほな…気晴らしに千葉でも行ってみようか」
「なんで千葉？」
「ファイターズのファームもあったし…少し知ってんねん」
「頼もしい…お願いします」
「お願いされました」
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年1月14日 20時
