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慎吾side
ご飯を食べ終わって、2人でゆっくりする。
「慎吾君…今日試合だよね？」
「せやな。でも、ナイターやから平気」
2人でソファーに座りながらコーヒーを飲む。
隣で…ごめん。という小さな声が聞こえた。
「…なんで謝るん」
「だって…慎吾君の事、何も考えずに電話して…
予定あったよね」
「そんなんAの気にすることやないやろ。
昨日も言ったけど、俺に電話してくれてありがとうって」
「…なんで」
「は？」
「なんでそんな事言ってくれるの？」
「そんな事言われても」
「慎吾君の迷惑にしか…」
「好きやから」
俯いていたAが驚いた顔をして俺を見る。
「それ以外に理由ないやろ」
「え…」
「好きやから、好きな人から助けてって言われて…
すぐに駆けつけない男なんかおらんやろ」
「まって…」
「待たない」
「ちょっと」
「…俺、今から真面目な話するから、
コーヒー置いて…はい、こっち見る」
「…」
「昨日、俺に電話してくれてホンマにありがとう」
「っ…」
「前に言いたい事あるって言ったやん。
覚えてる？」
「うん…」
「なんか色々ゴタゴタして言えんかったけど…
今ちゃんと言う」
大きな目に涙をいっぱい溜めて俺を見ている。
あぁ、可愛い。
「好きやで、A」
この言葉を伝えたかった。
「慎吾君っ」
「あぁ、昨日から泣きすぎやって」
「だって、慎吾君がっ…」
「前にさ、鎌ケ谷で怖い時は怖いって言えって言ったやん」
「言われた」
「昨日ちゃんと言ってくれた」
「あれは…」
「あれでもAにとったら成長や」
「…」
「その時、普通の幸せを諦めんといてって言ったんは覚えてる？」
「うん…慎吾君がいれば…できるって」
「そう。俺がいれば…Aに、
普通の…普通以上の幸せをあげられる」
「でもっ…それだったら慎吾君の幸せはどこにあるのっ」
「あるやろ」
「ないよ」
「俺の幸せは野球をすること。
そんで…Aの事を好きでいる事、
Aを幸せにすること。
普通の幸せも…最高の幸せも…
俺にとってはAと一緒にいること」
「っ…」
溢れる涙を拭う。
俺にとっての幸せ。
それは…Aが傍にいるという事。
Aの幸せを…俺が作るという事。
「慎吾君、優しすぎるよ」
「なんでやと思う？」
「わからないっ」
「好きやから。ただそれだけ。
簡単やろ？あほなAでもわかる」
「っ…」
→
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年1月14日 20時
