30-まさかの ページ12
「今日の始球式、AAらしい」
誰かがそうロッカーで呟いた。
え…今なんて言った？
「あれ、まだ仲良いん？」
「…勇人さんには関係ないでしょ」
「えぇ、なんで？ええやん。
てか何で仲良いん？」
「なんでもええやないですか」
「冷たいな〜」
「え、慎吾さん仲良いんすか？
ホンマですか？え、なんで？」
「和真まで…」
色々集まってきたけど、適当に流しておいた。
こいつらには会わせたない…。
勇人さんなんて、確実に狙う気やん。
このまま適当に流して試合まで持っていこう…
と思ったのに、
「今から歌うらしい」
そんな情報が流れれれば、
選手はすぐにグラウンドに向かった。
和真に引っ張られて向かうと…
ベンチ裏で待機しているAの姿があった。
岡「ちょ、慎吾さん話しかけてください！」
慎「嫌や。あっちやって仕事できてんねん」
岡「ええやないですか！」
慎「てか、お前違う女の子好きやろ」
岡「変な言い方せんといてください。
AA好きなんですよ、ホンマに！
え、お願いですから！」
慎「…嫌や」
勇「キャプテン命令や。
ちょっと呼んで来い」
慎「…嫌です」
勇「お前、どんだけ独占欲強いねん」
そんな話をしていれば、
あっちの耳にも声が聞こえたようで…
こっちに気がついた。
俺を見た途端、緊張していた顔が一気に緩んで、
小さく手を振ってきた。
岡「あかん…可愛い」
勇「顔ちっさ…脚長っ」
岡「あ、こっち来る！」
Aは、スタッフの目を盗んで、
こっちに走ってきた。
「慎吾君！」
慎「なんでおんねん」
「わからない」
慎「は？」
「私も今日、始球式やるって聞いて…
ライブします、って聞いて…びっくりしてる」
慎「なんやそれ」
「知らない。知ってたら、慎吾君に連絡してるよ」
あぁ、ここでそんな顔せんといて。
頭は撫でられないし、変に声かけられないんやから。
勇「ホンマに慎吾と仲ええんやな」
「あ、坂本さん。はじめまして」
勇「俺の事知ってるん？」
「はい。野球についてはこれでもか！
ってくらい勉強しました」
勇「嬉しな〜今日、ライブすんねやろ？」
「はい…試合前にうるさくてすみません」
勇「なんで？俺は楽しみやで？」
「…」
慎「A、」
「あ、ごめん、なに？」
慎「…何でもない」
岡「あ、あの！はじめまして」
「あ、始めまして、岡本さん」
岡「俺の事も知ってるんですか？！」
「もちろんです」
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作者名：ゆき | 作成日時：2019年1月14日 20時
