25-ようこそ ページ4
遥輝side
「荷物これだけ?」
「はい…これだけです」
「キャリー1つと段ボール1つだけって」
「…生活感なくてすみません」
Aちゃんのマンスリーマンションはオートロックで防犯対策は万全やった。
せやのに…あいつはここまで来ていたんか…。
「遥輝さん?」
「あ、ごめん…ほな、これだけ持ってくな」
「あ、遥輝さんの家って、調理道具ありますか?」
「…あぁ、あったかな〜」
「…持っていきたいです」
「え、料理作ってくれるん?」
「…お邪魔させていただくので、それくらいは…」
「ホンマに!?え、めっちゃうれしい!」
「大したものはできないですけど…」
「全然!とりあえず、これ車積んでくるな」
キッチンの物を漁っているAちゃんをおいて一度車に戻る。
荷物をトランクや後部座席につめて…再度戻る。
あぁ、なんか…同棲するみたい。
Aちゃんに言ったら、速攻で否定されそうやけど。
「Aちゃん、大丈夫?」
「はい、あとこれだけです」
「ほな、これ持ってく。かして」
「私持ちますよ」
「ええのええの。気にせんといて。俺、ギターは運びたくないからそれだけ持ってきて」
さすがに…人様の商売道具を持つのは怖いので…
それだけ頼んで、調理道具類を持って家を出る。
「…荷造り終わっちゃった」
「寂しい?」
「…少し。でも、これからの事が楽しみです」
どうしたどうした。急にデレが強くなったやん。
今まであまりデレてこんかったのに…あぁ、もう!
「行くで!」
「?はい、よろしくお願いします」
再度Aちゃんを車に乗せて走らせる。
車の中で、Aちゃんが緊張しないように…さっきの事を思いださないように…他愛もない話をしていた。
少しずつ、いつものAちゃんに戻ってきて…時折笑ってくれる。
この調子なら…怖いって思いも少しだけ忘れることができるんかな…。
「ついたで〜」
「…いい所に住んでいますね」
「そんなんゆうたら、Aちゃんやって」
「こんなところ住めません」
「…もぉええの!ほら、荷物持っておりて」
Aちゃんをおろして、荷物を持つ。
さすがに一回だと持っていけないかな?と思ったけど…何とか持っていく事ができた。
「…お邪魔します」
「今日からAちゃんの家でもあるんやけど」
「それはっ、さすがにだめです」
「えぇ、なんでや」
「なんでもです」
少し怒った顔をするAちゃんは可愛い。
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作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月14日 20時