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35-姉と弟 ページ20

開幕戦が終わった。
本当に一瞬で…でも凄く濃い日々だった。

遥輝さんは打つ度に私がいる方を向いてくれた。
最終日は、私がいるからと言って、
登場曲を私の曲にしてくれた。

そして、勝ってくれた。
凄く凄く…嬉しかった。



試合が終わって、遥輝さんが着替えるまで、
サロンで待たせてもらっていると…



「Aちゃん」

「あ、優心君」

「お疲れ様」

「それは私のセリフだね。お疲れ様でした」

「俺の事見てた?」

「もちろん」

「遥輝さんだけじゃなくて?」

「見てたよ。
盗塁刺した所なんて…もう、鳥肌立った」

「…Aちゃん、いつ帰るの?」

「明日の朝の飛行機」

「…そっか」

「なに、寂しいの?」

「うん」



冗談で言ったつもりが、素直に返されて、
少し驚いた。




「…折角仲良くなったのに」

「そうだね」

「Aちゃん、俺の事忘れちゃう?」

「忘れないよ」

「…俺さ、本当にAちゃんのこと、
お姉ちゃんだと思ってる。キモイけど」

「そんな事ない。
私だって、優心くんの事弟だって思ってる」

「…これからも仲良くしてくれる?」

「もちろん」

「人生相談もしていい?」

「彼女できたって言われたら
少し寂しいけど…いつでもしてきてよ」

「…東京行ったら連絡していい?」

「もちろん」

「遥輝さんより、早く連絡する」

「それは楽しみだ」

「…ねぇちゃん」

「…ん?」

「…ありがと」

「私の方こそ、ありがと」

「…ねぇちゃん、写真撮ろ。
いんすた載せていい?」

「いいよ」




そう言って、写真を撮った。
こういう事するのも少なくなるな〜。




「…ねぇちゃんさ」

「なに?」

「絶対に…幸せになってね」

「…うん」

「約束だからね!」

「わかってる。優心君もね」

「…うん。じゃ、俺いく」

「またね。怪我はしちゃダメだよ」

「ねぇちゃんこそ」



じゃあね。と言って、サロンを出ていった優心くん。
まさか優心君とここまで仲良くなるとは思ってなくて、
凄く嬉しかった。楽しかった。

実は、優心君と雑誌の撮影のオファーが来てた。
って言ったら…喜んでくれたかな。
タイミング的に合わなくてお断りになったけど。
いつか、そう言う機会があれば、
楽しいだろうな…なんて思った。



優心君、もっともっと輝いてほしい。
沢山輝いて…また、元気な笑顔で、
勝ったよ!と報告してほしい。


(そしたら、きっと抱きしめるだろう)

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作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月14日 20時

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