検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:54,592 hit

34-2 ページ19

遥輝side



「Aちゃんの朝ごはんを食べられるのも、
あと3回…」

「…そんな数えなくても」

「やって、噛みしめな!」

「よく噛んでくださいね」

「そういうことやない!」

「遥輝さん元気ですね…」

「…あぁ、あかん。
俺この3日間終わったら…
寂しすぎで死ぬと思う」

「大丈夫ですよ」

「無理」




朝ごはんを作ってくれるAちゃんを
カウンターから見る。



「そんなに見られると…
作り辛いんですけど」

「目に焼き付けておかんと」

「そんな…」

「もう、俺この3日間離れない」

「…お好きにどーぞ」

「好きにさせてもらいますー」

「遥輝さん、本当に自由」




こんな会話も出来なくなってしまうと思うと…
寂しくて仕方がない。


今までこんなんなかった。
自分がわからんくなるけど…
Aちゃんが好きって事はわかる。




「なぁ、Aちゃん」

「なんですか?」

「…俺、頑張るわ」

「…?」

「今シーズン頑張る」

「はい、応援してますよ。
怪我はしないでくださいね」

「頑張る」

「素敵な野球、
楽しみにしてますよ」



食べましょう。
そう言って、美味しいご飯を作ってくれた。


Aちゃんと一緒にいた数ヶ月。
ホンマに楽しい日々やった。

もっと思い出作りたい、
もっとAちゃんを知りたい。
そう思っとった。



Aちゃんを車に乗せてドームまで行く。



「遥輝さん、」

「んー?」

「開幕ってどんな気持ちですか?」

「どんな…」

「やっぱり特別なんですか?」

「せやな。特別やな。
このスタートダッシュがどれだけうまくできるかで、
シーズンも変わってくるしな」

「そうなんですね」

「…なんで?」

「…そんな素敵な日に、
一緒にいれるのがなんか不思議で」



外をぼーっと見ながら言うAちゃん。
その表情は…少し嬉しそうだった。




「不思議やけど…俺は嬉しい。
一緒におれて…Aちゃんが傍にいてくれて」

「…」

「この3日間…楽しみにしとってな」

「はい!」



この笑顔を守りたい。
傍にいれる時間は少ないけれど…
けれど、俺はこの笑顔のために野球をしたいと思った。


初めて自分以外のために野球をしたいと思った。
あぁ、周りに言われてた事ってこういうことなんやな。

いつか野球をする意味が変わる。



Aちゃんの彼氏でいることが恥ずかしくないように。



「Aちゃん…」

「なんですか?」

「好きやで!」

「っ…」



(君に活躍が届くように…)

35-姉と弟→←34-開幕



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
159人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月14日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。