青く、蒼く。～F7ver～ (ページ13)

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遥輝side

朝起きたら、Aちゃんはまだ腕の中で寝ていた。
顔色は昨日よりよくなっていた。

普段は大人っぽく見えるけど、
寝顔は可愛くて…そっと頭を撫でると、すり寄ってきた。

あかん…可愛い。ホンマに可愛い。

「どんだけ…辛い思いしてきたんやろ」

昨日の怯えようを見ていたら、
そんなの想像もできなかった。

来ないで…逃げ回るAちゃんは、
本気で怯えていて、震えていて…
恐怖の感情しか持っていなかったと思う。

「ごめんな…」

そう呟くと…
寝ていたAちゃんが小さく動いた。

「…は、るきさん…」

「おはよ…まだ、早いから寝てても平気やで」

「そろそろ起きないと…」

「大丈夫…もう少しこのまま」

もぞもぞと動くAちゃんを抱きしめて、頭を撫でる。
少しの間、うとうとしながら2人で抱き合っていた。

「遥輝さん…」

「んー？」

「…昨日は、ありがとうございました」

「…どーいたしまして。
頭とか痛くない？平気？」

「はい…」

「…寝れてなかったんやろ。
気がつかんで…ごめんな」

「前よりは寝れてましたよ」

「…ごめん」

「謝るの禁止です」

「…いつもと逆やな」

「ですね」

なんて言えば、少し笑ってくれた。
よかった。少しだけでも笑える元気があれば…よかった。

俺は、そんなAちゃんを思いっきり抱きしめた。

「痛いです…」

「んー、大丈夫」

「大丈夫じゃないですよ…」

「…大丈夫やから…ごめん、このまま」

このまま抱きしめさせて。
俺が…不安でいっぱいやねん。

「遥輝さん…」

「んー？」

「…遥輝さんがいてくれて、
よかったです」

「…ん」

「ありがとうございました」

「ん…なぁ、Aちゃん」

「はい？」

「今日の試合終わったら…デートしよ」

「…嫌です」

「どーせ、俺の車で帰るんやから、拒否権ないで」

「…どこに行くんですか」

「ん～内緒」

「…遥輝さんって、本当に自由ですね」

「ええやろ～よし、そろそろ起きよ」

Aちゃんの腕を引っ張りながら起きる。
寝起き感満載のAちゃんは可愛くて…抱きしめてしまった。

「うわっ…」

「充電。遥君の元気あげる」

「試合なんですから、遥輝さんの元気貰えないですよ」

「ええねんって…
今日もAちゃんが元気に笑えますようにって」

「…いい人過ぎます」

「Aちゃんだけにな」

(この意味、わかってるんやろか)