検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:54,589 hit

30-気づかなくて… ページ11

遥輝side



「Aちゃん、何か飲むー?」

「…」

「…Aちゃん!」

「っ…は、るきさんか…」

「いや、俺の家なんやから俺しかおらんやろ」

「ですよね…」

「…どした?」



久しぶりに北海道でのオフ。
部屋の片づけをして、リビングに戻ると…
ぼーっとしているAちゃん。
朝からずっとこんな感じ。



「Aちゃん?」

「は、い!すみません、なんですか?」

「…はぁ」



水を飲みながらため息を吐く。
ソファーに座るAちゃんの隣に行き、



「…何かあった?」

「なにも」

「なんでそんなに怯えてるん?」

「怯えてないです…」

「怖い顔してる」

「してない」

「ほら、怖い」

「…」



むすっとした。
あぁ、この顔好き…可愛い。


でも…なんか、今日はいつもの違う気がする。

さっきまでは怯えていたけど…
今は疲れた顔をしている。


顔を覗こうとしたら、
そっぽを向かれたので…
回り込んでみたら、またそっぽを向かれた。


可愛い…。

可愛くて…体重をかけながら…
Aちゃんをギュッと抱きしめた。

ちっさ…俺の腕の中にすっぽりやん。




「っ…遥輝さん」

「んー」

「重いです…」

「気のせいちゃう?」

「気のせいちゃいます」

「関西弁かわええやん」

「もう茶化さないでください…」

「…こうでもしないと、Aちゃん、
ゆっくりせぇへんやろ…少し、休憩した方がええで」



そう耳元で言ったら…
抵抗している手をとめた…。





「…なんでですか」

「怯えた顔したり…疲れた顔してるで…
なんかあった?」

「…何もないです」

「そっか…なら、少し休も…な?」

「…部屋戻ります」

「このまま。俺も休むから…」

「休めないですよ、この態勢」

「大丈夫、俺に寄りかかって寝てええで」

「…このままですか?」

「そ、このまま…」

「…このまま抱きしめててくれますか」

「もちろん」

「…起きてもそばにいてくれますか」



こんなこと言われたの、初めてや。
少し眠たそうな…とろんとした目で見られる。


我慢しろ、俺…。




「…起きて、初めに見るのは遥君の顔やな」

「それなら…眠れそうです」

「ん…おやすみ」



すっと寝てしまったA。
幼い…俺の一つ下なだけやのに…
凄く、幼く見える。

性格は大人っぽいけど…でも子ども。

凄く可愛い…可愛い。




「…好きやで」



この時、君の辛さをわかってあげられなくてごめん。
気がついてあげられなくて…


(ごめん)

31-震える君→←29-君しか



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (34 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
159人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月14日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。