5 ページ23
.
そして、私たちは観測会の日を迎える。
この日は地域の人が沢山来客してくるので、図書館もいつもより少し忙しくなるのだ。
私たちは普段よりも入念に準備を済ませ、開館する。その代わり、観測所の方は夜まで続くが図書館は１８時で閉館となる。
田中さんは忙しい忙しいと文句を言いながらもきちんと仕事をしており、一方の重岡さんは同じように忙しいと言っているはずなのにいつものようにふらふらと図書館へ遊びに来ていた。
「重岡ー。田中に怒られるでー」
「そう言う桐山さんも思いっ切りサボってるやないですか」
「これはサボりやない！れっきとした仕事や！」
「へー、仕事放ったらかして女性客口説くのが仕事なんですね」
『ホストに行くかもしくは一生私の前に現れないでください』
「望月ちゃああああん！！」
ぎゃあぎゃあと喚く桐山さんを放って、私は重岡さんの方に視線をやる。相変わらず、表情が読み取れない。
でも、楽しみなんだろうなとは思う。
口元がいつもより緩んでいる気がするのは、私の思い込みだろうか。
『で、重岡さんはどうしてこっちに？』
「…別に。来たらあかん理由でも？」
『そ、そういう訳じゃないですけど…』
というか、いつも重岡さんが図書館に来るのは見慣れた光景だけれども。
角を生やした田中さんが安易に想像できて、自分の身のためにも早く戻った方がいいと思っただけだ。
けれど、重岡さんは驚くほど図書館に馴染んでいる。それを桐山さんに言えば、首を傾げられたっけ。
何というか、図書館と雰囲気と本を読む彼の姿が、まるで以前からずっとそこにあったような。
見覚えの、あるような。
「…あ、そういえば智洋と仲良くやってるんだって？」
『…えっ！？』
「俺の協力とか別に要らんかったな」
そう言って、重岡さんはいつものように分厚い本を取り出してぺらぺらと捲り出した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1527人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葉月(プロフ) - しげええええええ泣 (2018年1月22日 22時) (
レス) id: 976831957c (このIDを非表示/違反報告)
クリームパン(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！もう最後の最後まで感動しました泣なんて素敵な作品なんでしょうか、こんな作品を読めてもう幸せですっ！これからも応援してます！！ (2017年12月22日 17時) (レス) id: 69d39ba2c0 (このIDを非表示/違反報告)
ありさか - 藤井さんの小説からまた来ました ！！！ とても楽しみにしてます（ ; ; ） (2017年10月24日 23時) (レス) id: f77e20ba12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みやび
| 作成日時：2017年10月24日 5時
