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連絡先を交換したあの日。

お互いの空いてる日が次の日しかなかったので、私たちは早速次の日の晩、ご飯に行ったのだった。


その一貫で学んだことは、神山さんのLINEはちょこちょこ可愛い顔文字が入ってくることと、昔はトマトが苦手だったらしいが今では好物になったこと。

あと、笑った顔が素敵なこと。


それだけかと言われればそれだけだと答えるしかないが、どうだったかと聞かれれば楽しかったと答える。そんな、ひと時だった。



「だって俺、今彼女おらんし?俺がイチャイチャするのはええけど、他人がイチャイチャしてたり他人の惚気話とかは許せへんねんな〜」


「最低やな、星に帰れやクズ男」


「相変わらず田中は口が悪いな!それだからモテへんねん!」


「うるさい!大きなお世話よ!!」



ああ、また始まった。

私は額に手をついて、小さく息を吐く。


どうしてこの二人は牙を向き合うことしかできないのだろう。私が働き始めてからこの調子だったので、多分それ以前からもずっとこの関係のまま続いているのだろう。

仲が良いのか、悪いのか。


相変わらずな二人に、私は再び溜め息を吐いた。


そういえば、あれからろくに重岡さんと話ができていない気がする。今週の日曜日に観測会があるし、それの為の準備で忙しいのだろう。

お礼も言いたいし、色々話したいこともある。



『田中さん、観測会の準備ってまだ立て込んでますか?』


「え、観測会?あー、まぁ忙しいっちゃあ忙しいわね」


『…そう、ですか』



どうして?と訊ねる田中さんに、何でもないですと首を振る。

忙しいなら迷惑はかけたくないな。そう思いながら、私はお弁当に入っているトマトをじっと見つめた。







『あー、またトマト残してる!』


「…うるさいな。サンドイッチなんかにトマトを入れる方がおかしいねん」


『じゃあー、来週の日曜は私がトマト抜きのサンドイッチ、作ってきてあげよっか?』






そして私はミニトマトを口に含む。






「…作れんの?」


『何それ!馬鹿にしてる?』


「うーん。てか、不安?」


『最低!』


「うそうそ。楽しみにしとるわ










あの頃の少年は、もう、居ない。




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葉月(プロフ) - しげええええええ泣 (2018年1月22日 22時) (レス) id: 976831957c (このIDを非表示/違反報告)
クリームパン(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!もう最後の最後まで感動しました泣なんて素敵な作品なんでしょうか、こんな作品を読めてもう幸せですっ!これからも応援してます!! (2017年12月22日 17時) (レス) id: 69d39ba2c0 (このIDを非表示/違反報告)
ありさか - 藤井さんの小説からまた来ました !!! とても楽しみにしてます( ; ; ) (2017年10月24日 23時) (レス) id: f77e20ba12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやび | 作成日時:2017年10月24日 5時

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