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「明日プールあるんか」
そう、剛が呟いた。
教室の後ろの黒板には今日と明日の2日分の時間割が書き出されている。
明日の4時間目はプール開きらしく、デカデカと書かれておりすぐに目に止まった。
水樹が弁当になった為、2人も親に少し無理を言って毎日作ってもらうようにしていた。正直、手間はかかるけどお金は浮くし…、いや。いい所の坊ちゃん2人にはそんな事あまり関係ないだろうけど。
「えー、めっちゃ入りたい」
「好きなん?」
「最近暑いやん、水浸かりたいやん」
朝の出来事なんか無かったかのように、いつものように平然と話す水樹
「そのおかず美味そうやな」「交換しよ」等3人で水樹の机を囲み、食堂の時のようにおかずの交換を楽しんでいる。
週に2、3回程度しかない体育。今日と明日と連続して授業に組まれている。
お弁当を食べたら体操着に着替える3人、今日はバスケットボールという事で皆心を踊らせていた。
5、6時間目と2時間続けての体育の文字に少し憂鬱さを感じながらも、せっせと着替えを進めていく。
「同じチームになれるとええな」
「2人はチームになれるんちゃう、誰も離したがらんやろ」
「それやったら強引にAも同じにするわ」
昼休みの終了を告げるチャイムと共に、体育館へと足を運ぶ3人。
シューズに履き替え、整列。まず最初に体操、柔軟、そしてボールに慣れろという事でパス練が始まった。
どうしても奇数になるこのクラス。
2人は既に組んでいるし、やはり1人になる水樹。ああ、最悪や。そう心の中で呟いた時案の定体育教師に呼ばれた
「早く歩けよおせぇな」
「すみません」
「今からボール投げるから全部取れよ」
普段より大きい声、皆1組1個のボールなのに教師が持ってきたのはカゴに入ったいっぱいのボール。
驚きつつ交互にカゴと顔を見ると「ほら、こっちも」とワンバウンドさせながら四方八方へと投げ始めた。
勿論、間隔があるのなら取れるのだが生憎そんな優しい事はしてくれない。
ほら、ほらと次々に空くことの無い間隔で一気にボールが投げられていく。
追えるはずが無い、必死になりながらも1個、2個と返していくがすぐに投げ返される。
力が入らず、膝に手を付き足を止め肩で息をしながら休憩すると教師が怒鳴り声を上げた。
「誰が休んでいいと言った!!」
と、同時に固く大きいバスケットボールが首や腕、肩などに次々とぶつけられる。
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yu - めちゃ良かったです (2022年11月17日 18時) (レス) id: b3f4a92def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮 | 作成日時:2022年8月11日 1時