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#32. ページ32

「サボりか!!」と怒鳴る担任、そんな先生にも動じていないが両手のひらを無意識に擦り合わせている
緊張、不安、ストレス、恐怖心。体が助けを求めようと動いているのだろう。

怒鳴り声を上げている担任の目を無言でじっと見つめ、逸らそうとしない水樹。自分自身何も間違いを犯していないと自信があるんだろう。
優位に立ちたい教師、絶対負けたくない水樹。それを少し困ったように見ている剛。


「ま、まぁまぁ。先生…水樹くんも怪我して辛そうにしてたので、」


2人の間に割って入り、何とか落ち着かせると気に入らなさそうに「ふん、」と担任が鼻を鳴らし保健室から出ていった。
擦っていた手のひらは後ろで組み、安堵からか肩を下げ「あー…」と呟いた水樹。


「…いつも、あんな感じなの?」

「え、」

「担任だけちゃうもんな。他の教科の先生も当たりキツいねん。でも、1番酷いのは体育の奴やで
優しくしてくれる人、保健医(木見先生)しかおらん。」


水樹の隣に並ぶ剛が保健医へと述べた。そんな言葉の後、3人とも口を噤んでシンとする保健室。長く感じるこの時間、本当はたった数秒なのだろう。


「…よし、行こっか。」


強がるような笑みを浮かべ、剛を見ると小さく頷き扉へと歩を進める。
心配そうにその背中をじっと眺める保健医、1歩、2歩と近付くと「ねぇ」と2人に声をかけた。
その声に反応して不思議そうに振り返ると、保健医は話を続けた。


「剛くん、光一くんと一緒に守ってあげてね。」


その言葉に、2人顔を見合せ少し驚いた表情を浮かべた。やはり心の底から優しい先生なのだろう。
久しぶりに体感する優しさに水樹は崩したような、柔らかい笑みを浮かべ嬉しさを噛み締めるように口角を上げる。


「勿論。絶対守ります」

「普段から守ってくれてるもんなぁ」


ふふ、と笑い声を漏らしながら剛にそう言うと、保健医の木見先生に頭を下げ扉を閉めた。
色々と話しているうちに時間は6時間目半ば。重い足取りで階段を1段ずつのぼり教室の扉を剛が静かに、ゆっくりと開いた。

1歩踏み出す剛に担任は優しく、「大丈夫か?」と問いかけた。「っす、」と小さく頭を下げながら自分の席へと戻っていく。
やはり態度が違うな、なんて思いながらも同じように教室へと入る。

皆無言、教師からの心配する言葉もかけられずただ鋭い視線のみが向けられる。
席につき、残りの授業を受けようと教科書を広げシャーペンを手にした。

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yu - めちゃ良かったです (2022年11月17日 18時) (レス) id: b3f4a92def (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年8月11日 1時

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