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母親が持ってきてくれたお菓子をつまみながら、3人で他愛のない会話をしていた
課題も光一の言った通り捗り、いつの間にか全てが終わっていた。「ラッキー」と3人で笑い、学校の事やそれぞれの家の事等気になる内容ばかりを口にする。
床も痛いだろうし、と2人を自身のベッドに座らせた水樹。自身は丸型のクッションを床に敷き、そこに腰を下ろしていた。
「Aくんの家、なんか落ち着くな」
「な、めっちゃ家って感じする」
「んふふ、ええやろぉ。ここで寝てんねんでぇ」
ボスッと後ろに倒れる剛、それを見て俺もと光一が隣に倒れる。そんな2人を微笑ましそうに笑みを浮かべながら眺めている水樹。2人につられてか、それとも嬉しさがいっぱいになったからかおっとりとした、安心しきった口調になっている。
「…あ、そういや腹のアザどう?」
天井を眺めて少しの沈黙があった光一が、ふと思い出したかのように状態を起こし水樹に問いかけた。
「んー?」と返事をした後、Tシャツを捲り薄っぺらい腹を露出し2人に見せた。
「最近気にしてへんかったわ、前より薄くはなってるんちゃうかな」
「あ、ほんまや。でもやっぱ痛々しいなぁ、まだされてるん?」
「んー、すれ違う時にくらいやな…まぁ慣れたし大丈夫やで」
無駄な肉が無い綺麗な腹に出来た大きな青アザ。その部位を優しく擦りながら心配そうに眉を下げ、口を噤んだ光一。後ろで剛が口を開く。
「光一、触りたいだけやろ」
その言葉に「え、えぇ?」と素っ頓狂な返事しか出来ない光一。
腹からパッと手を離しすぐさま否定するが、剛はそんなあからさまな反応をする光一を見ていたずらに笑い、「嘘やぁ」とさらに煽る。
「まじで心配になって…!」
「えぇ、ほんまぁ?怪しいわぁ」
「まじで、」
「触ってどんな感じやった?」
「どんな感じって…、普通のお腹やったで、サラサラしてたわ」
「楽しんでるやん」
はは、と目を細め口角を上げて楽しそうに笑う剛。
「ああもう、」と気恥しそうに自身の髪をグシャッと崩す光一。転校してくる前は2人でこんな会話ばかりしてたんだろうか、なんて思いながら2人を目で追い黙って話を聞いていた。
いつの間にか外は夕日でオレンジ色に染まっており、烏が鳴いている。
冬は過ぎたとはいえ、やはりまだ日が落ちるのは早い。ほぼ雑談で終わり、カバンを持って2人は階段をおり外へ。見送る為に水樹もサンダルを履いて外に出ると、帰っていく2人の背に手を振った
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yu - めちゃ良かったです (2022年11月17日 18時) (レス) id: b3f4a92def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮 | 作成日時:2022年8月11日 1時