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油性ペンで暴言を書かれた上履きを下駄箱に戻し、靴に履き替える。少し離れた所から見る2人は、白ランに整った顔立ちで凄く上品に見え、少し自分に自信が無くなってしまう
いつもの横断歩道を、初めて3人で渡り帰路へつく。
車通りの少ない道を歩いてはいるが、やはり同じ学校の人間は大勢いるわけで。
「俺と絡んでたら2人もいつかいじめられるんちゃう」
不意にネガティブな事を、神妙な面持ちで呟いた水樹。そんな彼の左手をとったのは光一だった。
驚き目を丸くさせつつ、顔を上げるともう一方の空いていた手で水樹の左手を覆う。
「もし、いじめられる事があってもいい。Aがおったらそれも乗り越えられる、離れたりしない」
普段、剛程では無いがおっとりとした口調の光一が真剣に目を合わせ真面目に答えた。
光一に気を取られている水樹に気付いて欲しい剛も同様に手を取って「なぁ」と声をかけた。
「安心してええよ。ぼくらずっとAくんの味方やねんから。ネガティブな事考えんでええんよ」
安心させる為に、落ち着かせる為に柔らかく微笑んで見せた剛。思い通り、水樹は眉を下げ「せやな、」と薄く口角を上げ頷いた。
「はよ行こ、どっち?」と光一が手を引き、道順を訪ね、あっち、こっちと口に出しながら普段より時間が掛かりながらも自宅へとついた。
鍵がかかっている、そう思い鍵をさして回し扉を引くがガチャンッと閉まってしまった。
不思議に思いながら鍵を再度挿し、回すとようやく扉が開いた。
玄関には母親の靴が。仕事が早く終わったんだと思いながら2人を中に招いた
「ただいま」
「あ、おかえりA。…あれ、お友達?」
「ん。時間あったから少し遊ぼってなって。部屋におるからあんまり気にせんといて」
「そう、飲み物とお菓子後で部屋の前に置いとくね」
母親との会話、終わるとすぐに階段をのぼり部屋に入る。
狭くも無く、だだっ広いわけでも無く。至って普通の平凡な部屋
制服から私服に着替え、ベッドの頭上の壁にハンガーをかける。
部屋着よりはマシな私服でも、2人からしたらダサく見えてしまうんだろうか。
「髪下ろしてるのもやけど、私服も新鮮やな」
「な。でも俺前見たもんな」
「ああー、習い事の時やろ。そういや会ったなぁ」
そんな話で盛り上がり、光一が「課題しよ、捗りそう」と笑顔でカバンを手にした。
滅多にない事だろうしと他2人も二つ返事で白い正方形のテーブルで課題をし始めた。
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yu - めちゃ良かったです (2022年11月17日 18時) (レス) id: b3f4a92def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮 | 作成日時:2022年8月11日 1時