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とある春の日。
有名私立男子高等学校。白い学ランに差し色の青がとても映える誰もが憧れる学校。
満開の桜、1年生の入学式も終わり全校生徒新しいクラスに胸を躍らせていた。
そんな綺麗で暖かい日だと言うのに、クラスの隅、窓際の後ろ角で2人だけで話している人物がいた。
短い黒髪、髪をアップにスッキリとまとめている男。
所々茶色混じりの黒髪、長い前髪の根元を立ち上げセンターで分けている男。
2人とも目を引く程の美形で、このクラス、学年、学校でも一際目立つ存在だ。
「また同じクラスになってもうたな」
「な。どうする?来年も同じやったら」
「それはそれでええけどな」
2人の世界、長いまつ毛、クリクリとした目を細めながら和気あいあいと会話を続ける。
ただ、そんな世界に空席が1つ。角の席を囲むような形で隣と前に2人が着席している。
ガヤガヤと騒がしかった教室にキーンコーン…と鳴り響く。と、同時にガラガラッと扉が開いた。
「起立」とすぐさま挨拶が始まり、先程まで騒がしかった人達も席へ戻り「礼、着席」と皆が椅子を引き腰を下ろす。
「クラス替え早々にだが、転校生が来てる。歓迎してやれよ〜」
と、男子教員が述べた後廊下側に手招きをし、1人の転校生を中に招き入れた。
開いた扉から伸びる白い制服、鞄を持つ手は骨張っており、細く長い指をしている。
「じゃあ自己紹介を」
「水樹Aです。近畿の方から越してきました、仲良ぉしてください。」
「じゃああの剛の隣、空いてるからそこに」
柔らかく、静かながらも若く透き通るような声。
磨ったばかりの墨のように真っ黒で項の見える髪、眉上の短い前髪をセンターで分けている。
首を振る度、細い髪がふわりと揺れる。
疎らな拍手の中、垂れ気味の目、三白眼気味の黒色の瞳でぐるっと教室を見回した後軽い会釈をして空席だった机へと向かった。
「よろしく」
席に着く際、隣の男子生徒へと声を掛けた。
「ぉん、よろしくな。」
いきなり話しかけられた事で、丸い目が更に丸くなる。だが、一瞬で目を細め嬉しさを噛み締めるように口角を上げた。
転校生の紹介も終わると長々と纏まらない話を続ける担任教師。
その隙に、学校指定である焦げ茶色の長方形の鞄から教科書類を取り出し引き出しへと入れていく。筆記用具も全て入れ終えると、椅子の背もたれへと体重を預けた。
20分程でようやく解放され、各々1時間目の準備を始める中、水樹へ話しかけてきた人物が2人いた。
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yu - めちゃ良かったです (2022年11月17日 18時) (レス) id: b3f4a92def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮 | 作成日時:2022年8月11日 1時