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黙ったまま背中を擦られれば「すみません、すみません。」と、小さな声で謝罪をした。
相当追い込まれている事は見ていてすぐ分かる。福田は頭を撫でて、落ち着く様にと水の入ったペットボトルを渡して様子を伺う。
「言っとこうか？少し控えなよって。」
胸を叩いて、気持ちを落ち着かせた阿瀬に聞いた。
本人が言えないなら、と思ったのだろう。気の利く先輩に、少しだけ阿瀬も気楽に話せる様になった。
「大丈夫です、福也さんも僕が危なっかしい奴だから気に掛けてくれてるんだと思うし、悪気も無いと思うので。人の善意を、無下にするのも…悪い気がして。」
眉を下げて困った様にはにかんだ阿瀬は、同じ捕手である若月に呼ばれて福田の元から去って行く。
離れていく背中をじっと見つめた後、パタンと仰向きに寝転がった福田は高く遠い天井を見つめながら
「…悪気無いのが1番タチ悪いんちゃうん。」
と呟いた。
誰にも聞こえず、阿瀬も気が付かない。
悪気があった方がそれが悪い事だと理解しての行動の為、更生の余地はある。
今現在の山��はそんな余地は無く、また、阿瀬も彼の行動を軽視している様だった。
「Aは寮から出ないの？」
キャッチャー練習も終え、サロンへと戻った阿瀬は山��に捕まっていた。
おいで、と手招きをされて渋々彼の目の前に腰を下ろす。
「出る予定無いっすね。奥さんも彼女もいないし…必要無いかなって。」
数口、食事に手をつけたところで山��が問い掛けた。
まだ寮住居の阿瀬の生活が気になるのだろう。阿瀬はチラリと目の前に座っている山��を一瞥した後、すぐに返事をした。
寮から出て行く理由が無い。もし、他に一軍登録され、一軍部屋昇格となった選手が居れば出て行く予定ではあるが、今現在その予定も無かった。
「寮生活じゃ無かったら遊びに行きたかったな。」
「んふふ、残念。遊びたい時は僕が福也さんの自宅まで行きますよ。」
テーブルに肘も付かず、行儀良く食べ進める阿瀬をじっと見つめる。
柔らかく笑った阿瀬が可愛くて、育ちが良い事が垣間見える時間が続けば、なんて山��は考える。思うだけなら自由だ。
「…見すぎ、恥ずかしいから。」
彼の視線に気付いた阿瀬は照れ臭そうに目を細めて笑い、視線を外す。
そんな何気無い仕草と表情で山��の胸を射止める。阿瀬本人が、じわりじわりと自分自身の首を絞めていた。
少なかったサロンも次第に賑やかになる中、山��から顔を逸らす阿瀬の表情は苦しそうだった。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
