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小さな顔の面積が全て口で覆われてしまいそうな程の大きな欠伸をひとつ。
眠気眼を擦りながら空港で荷物を受け取り、山��の大きな背中を追う様に着いて歩く。まるでカルガモの親子の様だ。
ガラガラとキャリーケースを引いて、開いているのか分からない瞳を何度も擦り、時折ふらつきながら歩みを進める。
そんな阿瀬が心配になったのだろう、ファンが出待ちしているのにも関わらず山��が振り返って阿瀬の左手を取り、引っ張る。
引率の保育士の様だ。
「寝起き悪すぎるやろ。」
2人の後ろを歩いていた中川は、ケラケラと笑いながら歩みの遅い阿瀬の背中を押す。
「寝れるなら、ずっと寝てたいです。限界まで寝ていたい。」
空港から出て、タクシーを捕まえて3人で乗り込む。
阿瀬は言葉通り、タクシーの後部座席でまたも眠りについた。長距離移動で疲れていたのだろう。タクシーの静かな走行音に紛れて、阿瀬の静かな寝息が聞こえる。
「さちさんさ。」
助手席に座る中川が、携帯画面を眺めながら後部座席の山��に声を掛けた。
「ん？」
と、山��は阿瀬の頬を骨張った手の甲で撫でながら、中川の言葉に返事をする。
「なんでそんなにAの事好きなん？いつからなん？」
純粋な疑問なのだろう。
いつからこんなに阿瀬への思い入れがあるのか。何をどうして、ここまで過保護になったのか。
少しの沈黙が流れる。山��は阿瀬の長いまつ毛をじっと見つめながら
「…甲子園辺り。」
と、小さく返事をした。
「そんな前…？！」
「甲子園辺りからテレビに映ってるの観てて、インタビュー映像とかも見つけて。野球してる姿も好きだったけど、まあ。…一目惚れだね。好きな顔だった。」
中川が思っている以上に前からの、一方的な片想いに思わず携帯画面から視線を外して振り返る。
後部座席で、阿瀬の鼻先や下唇に親指の腹で触れている山��の瞳には様々な感情が渦巻いていた。
ほんの少しだけ、彼の優しい笑みに背筋が凍る感覚を覚えてしまった。
すぐに前を向くと、先程の山��の愛情に塗れた笑みを忘れようと窓の外に目をやった。
「…。」
「……こんな顔で、格好いい野球をして、俺のボールを受けてくれて。好きにならないわけが無い。」
「…Aに、そんな感情が無かったとしたら、さちさんはどうするんですか。」
流れゆく景色を見つめながら、中川は彼に問う。
「…分からない。」
たった一言発すると、その後は口を噤んで眠り続ける阿瀬の頬を覆うように撫でた。
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kaaaaaann(プロフ) - 毎度のタイトル回収がとても面白くて好きです (11月6日 1時) (
レス) @page26 id: 6592908639 (このIDを非表示/違反報告)
宮さんのﾌｧﾝ - 無茶苦茶混乱してるのでまた最初から読み返してきます……… (11月5日 0時) (レス) @page26 id: a501d72624 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宮
| 作成日時：2023年10月27日 1時
